「ずっと私をたしなめてほしかった」三回忌追悼企画“いま寂聴さんに願うこと”
そんなとき、ゲスト出演してくださった寂聴さんに『まあ、あなたはずいぶん恵まれた仕事してらっしゃるのね』と言われて……。嫌みではなくポジティブな言葉として受け止めることができて、結局、この仕事もやめることに(笑)。何か大きな決断をするとき、いつも寂聴さんの一言があるのです」
阿川さんは11月に70歳となり、節目を迎えたためか、こうした寂聴さんの言葉がよく思い出されるという。
「高齢者になれば、人から苦言を呈されることが少なくなります。それは年をとって立派になったわけではなく、年上の人を失ってしまうからです。誰からも怒られないのは快適でもあるけど、それは危ないと思うのです。
“それは違うんじゃないの”と意見してくれる存在って、すごく大事。寂聴さんには、ずっと私をたしなめてほしかったです。
いまでも“薬のように、よく効く一言”が欲しくなります」
■「“すっぴん”の私の悩みを聞いてください」女優・三田佳子さん(82)
「寂聴さんの原作で、巨匠・豊田四郎監督が手がけた映画『妻と女の間』(’76年公開)に主演したとき、初めてお会いしました。
まだ30代だった私の役どころは、仏門に入る前の“瀬戸内晴美さん”を投影した四姉妹の長女でした。