ハーブ研究家・ベニシアさん夫の梶山正さんが明かす「最後の日々」〈1〉有名になった妻との間にくすぶっていた“わだかまり”
『私はこの家で最期を迎えたい』って。そのベニシアの思いがかなったことは、本当によかったなと思っています」
今年6月21日、ベニシアさんは住み慣れたこの自宅から旅立っていった。72歳だった。
■相手の目を見てはっきり意見を言う ベニシアさんに「いい雰囲気の人だな」
’50年、ベニシアさんはイギリス・ロンドンに生まれた。名門の貴族出身で、曽祖父の兄・カーゾン卿はインド総督や外務大臣を歴任。母・ジュリアナはスカーズデイル伯爵二世の三女。父・デレクはシェイクスピア劇俳優だった。両親は’52年に離婚している。
実父との離婚後、再婚と離婚を繰り返す母に振り回された幼いころのベニシアさん。18歳のときには社交界デビューも果たしたが、ベトナムで戦火が広がるなか、パーティざんまいでキツネ狩りや競馬の話題に興じる上流階級の人たちに、ずっとなじめずにいた。
19歳、ヨーガや禅の本を読みふけっていたベニシアさんは祖国を飛び出す。瞑想に興味を持った彼女は、インドを目指した。
ヒンズー教の聖地・ハリドワールのアシュラム(瞑想道場)での生活など、インドやネパールでおよそ5カ月を過ごしたのち、20歳で日本に。