GACKT 20年前の初自伝『自白』で明かしていた「白血病の彼女との悲恋」
でも、白紙になんて戻るわけがない。
あのとき、僕は、おかしくなった。自分の弱さがあったと思うけれど、笑えるぐらい、おかしくなった。
彼女は白血病だった。付き合い始めてから、それを聞いた。でも、僕たちには関係ないと思った。
彼女が病気だろうと、何だろうと、僕が彼女を好きな気持ちは変わりない。
命にかかわる病気だということもわかっていた。
でも、僕が思っている以上に、彼女はもっともっと深く病気のことを、そして、僕のことを思っていたんだ。
そのことを、僕が理解できなかったということが、いちばん大きな別れの理由だったような気がする。
彼女が僕の目の前で倒れることはしょっちゅうあった。僕には、どうしていいのかわからないこともよくあった。
彼女のほうから、もうこれ以上は一緒にいられないという答えを出してきた。嫌いになったわけじゃない。でも、もうこれ以上は一緒にいられない……と。
別れの言葉は、電話だった。
僕は彼女に会いに行った。どうしても納得できなかったから。嫌いじゃないのに、別れなければいけない?なぜだ?そんな理由があるのか?そんなの全然わからない。
でも、彼女は、もう決めたことだからとしか言わなかった。