GACKT 20年前の初自伝『自白』で明かしていた「白血病の彼女との悲恋」
彼女の性格はよく知っていた。
決めたことを簡単に覆す人じゃない。僕も、わかったと、言うしかなかった。
どうにでもなれという気分だった。だから、車で無茶をした。
前にも話したことだけど、大破した車を前にして、僕がぼんやりタバコを吸っていると、彼女から電話がかかってきた。「何やっているのよ!」と、彼女に泣かれて、僕は、目が覚めた。そんな自分が心底情けないと思った。
僕は、自分のことしか考えられない子供だったんだ。
彼女は、僕と付き合う前にフィアンセがいた。彼は、いつも車で、彼女を迎えに来てくれたという。でも、あるとき、彼女を迎えに来る途中、事故に遭って、亡くなってしまった。彼女は、ずっとそのことを考え、悩んでいた。
好きだと思っている相手が、突然、いなくなるって、どういう気持ちかわかる?あなたに、そんな思いをさせたくない……。
彼女は、一生懸命だった。僕に自分の気持ちを伝えようとした。
その言葉の底にあったのは、フィアンセを失った悲しみ、病気と闘い続ける覚悟、そこに潜む死ぬかもしれないという恐怖――。
でも、当時の僕はまだとても未熟で、彼女の真意がわからなかった。そんなの勝手じゃないかと思っていた。