「年金モデル世帯」の見直しへ 実質66万円も減額…便乗「年金減額」に警戒を
(写真:kouta/PIXTA)
「11月21日、厚生労働省の社会保障審議会の年金部会でモデル世帯の見直しについて言及されました。例年、1月に発表される、4月の年金改定額や、“年金の健康診断”とも言われ、厚労省が5年に1度発表している『財政検証』でも、このモデル世帯が基準となっています。
ところが、その設定は“平均的な賃金の会社員で40年、1度も欠かさず年金に加入してきた夫と、専業主婦の妻”という、現在では該当者が少ないと思われる世帯。多様な働き方に合わせたモデルを提示するべきというのが、見直しの根拠です」(社会保障担当記者)
今後は現状のモデル世帯に加え、共働き世帯や、単身者などのモデル年金も提示していく見込みだ。早ければ、来春の年金の改定のタイミングや、2024年の財政検証で、複数のモデル年金が提示される可能性がある。
「さまざまなモデルを示すこと自体は必要なことでしょう。しかし、既存のモデル世帯の見直しは、『所得代替率』の“50%ルール”の見直しにつながるという懸念があります」(前出・社会保障担当記者)
■年金の上昇を抑制する非情な仕組み「マクロ経済スライド」
年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾さんはこう解説する。