茨城のNPO「キドックス」…保護犬の世話を通じてひきこもり等の若者の社会復帰を支援
穏やかな時間が流れる、HACCキドックスのドッグラン
「さあ、さすけ。お散歩だよ」
「ほら、どうした?オヤツが欲しいのかい」ーー
鼻先にフードを差し出されても頑として、おすわりのままだ。茨城県つくば市にあるNPO法人「キドックス」では、さすけはじめ“チノ”や“しらたま”など6頭の保護犬たちを対象に、人に慣れるためのトレーニングが行われていた。秋晴れのこの日、最初のメニューは、リードをつけて歩く訓練だ。
キドックスは、若者の自立を目指す「動物介在活動(ドッグプログラム)」と、保護犬の里親探しなどを組み合わせた独自のユニークな取り組みで注目されている。
ドッグプログラムとは、犬を介して行う教育や支援活動のこと。過去のいじめ体験や虐待、ひきこもりなどで対人不安が強い若者たちが「犬」という安心できる存在を通じて、他者との信頼関係を築く過程をサポートする。現在は、10名の若者とスタッフにより、15頭の犬たちの世話や人慣れのトレーニングが行われている。
代表理事の上山琴美さんがこうした活動を始めるきっかけとなったのは、幼少期の体験がきっかけだ。小学校に入学してすぐに、図書館で偶然、犬の殺処分や動物実験に関する本を手にする。