茨城のNPO「キドックス」…保護犬の世話を通じてひきこもり等の若者の社会復帰を支援
やがて、日本で同様の活動をするにはどうすればいいかを考えるようになり、高校卒業後、最初に目指したのは少年院や鑑別所で働く法務教官になる道でした」
筑波大学人間学群に進むと同時に、非行少年を支援する活動などにも積極的に参加した上山さん。しかし、彼女を待っていたのは、思いがけない挫折体験だった。
「現実は甘くなかった。ときには死とも隣り合わせのような環境にいた非行少年たちとの交流は私が考えるほど生易しいものではなかったんです。20歳そこそこの女子学生の自分には、とても真っ向から向き合えるものではなく、怖さも感じて、身を引きました」
しかし、彼女は、まだすべてを諦めたわけではなかった。
「動物愛護団体でボランティアを続けながら、いずれ少年や動物の施設を運営していくときに役立つだろうと、卒業後の就職先には、組織運営などについて学べる一般企業をあえて選びました」
アミューズメント系企業の営業職として働きながら、2年ほどが過ぎたときだった。
「会社員生活は充実しながらも、社会で働くことによって、自分の思いをきちんと形にしたいという考えが強くなっていきました」
改めて児童福祉施設や若者自立支援機関にも関わっていくと同時に、自ら子供と犬に関する社会問題の調査も始めた。