小林幸子 10歳で歌手デビュー、不遇の15年を経てつかんだダブルミリオン
とこぼす。
いっぽう、小林さんのデビューと同じ6月、実家が惨事におそわれる。新潟地震が発生したのだ。
「幸い家族もお店も被害は少なく無事でした。でも、本当に大変になるのは、そのあと。復興の名のもと、大きなスーパーマーケットがどんどん進出してきたんです。うちみたいな小さな商店のお客さん、みんな持っていかれちゃって」
やがて、父母は店をたたみ上京することを決意。東京で改めて家族5人の暮らしがスタートした。
しかし、父は新しい仕事をなかなか見つけられず、気付けば末娘が一家の大黒柱に。このとき、小林さんはまだ15歳。
「家族の生活費を稼ぐため、私は年齢を18歳と偽って、全国のキャバレーを回り、歌いました」
嫌な思いを毎晩のように味わった。舞台で歌っていると「引っ込め」「歌はいいから酌をしろ」と酔客の心ない言葉が飛んだ。ビールを掛けられたこともある。
「一生懸命、歌ってたら『うるさい!』と怒鳴られたりね(苦笑)。でも、嫌なことばかりでもないんです。ときにはチップをいただいたり、『レコード100枚買ってやる』なんて気前のいいお客さんも」
忘れられない光景がある。
「大きなお店になると、託児所が併設されていて。