美輪明宏さん「身近にある幸せを数えてみれば、日常が明るく穏やかに」
日本の国花は「菊」ですね。アメリカは「バラ」、オランダは「チューリップ」、フランスは「ユリ」、ロシアは「ヒマワリ」です。国花はそれぞれ国によって違います。花にはたくさんの品種があり、動物や昆虫も、さまざまな種類がいます。人間も同じ。それなのに、異なる思想や価値観を否定し、1種類にしようという発想自体が無理なことなのです。国によって考え方も意見も異なるのですから。
それは、身近な職場の同僚や友人、夫婦関係においても同じことが言えます。
所属する組織の違い、男女の違いがあることから、自分自身が不安や葛藤、苦しみ、悲しみなどで悩むことがあるでしょう。人生を過ごすなかで、夫や妻、上司や仲間の考え方に疑問を感じたり、ときには自分の生き方や性格がだんだん嫌になってくることもある。
そういうときは“人は人、自分は自分”と考えることができれば、腹も立ちません。さまざまな価値観があって当たり前。そう思って生きるべきなのです。人は不幸の数ばかりかぞえます。自分の容姿や欠点を気にして、それをコンプレックスにする。そして他人に対しても、自分と同じような欠点がないかと粗探しする。
つまり、
《人は不幸の数はかぞえるが幸せの数はかぞえない》。