千葉県大量発生のキョン…「害獣=ジビエ」は日本の食料自給率アップの未来!?
(全国紙社会部記者)
千葉県や東京都はキョンの捕獲を進めているが、生態系への影響や、農作物などの被害をもたらす動物は、キョンだけではない。いま、日本中でシカやイノシシ、クマまで人里に現れ、農作物のみならず人家、人まで襲うニュースは、後を絶たない。
なぜこのような状況になったのだろうか。
「昨今、動物が人里に降りてきて被害をもたらしているのは、動物の性質が変わったわけではなく、日本人が山を管理できなくなってきているからという側面が強いと思われます。
少子高齢化で、以前は人が管理していた山に人が入らなくなり、山にある家も放置され、草が生え、森になり……。つまり、人間のテリトリーが後退して、鳥獣のテリトリーが広がったからなんです」
日本ジビエアカデミー代表の山末成司さん(50)はいう。
人の領域が山からだんだん下降して来れば、山に住む動物は活動領域がどんどん広くなる。人里、民家が動物たちにとって、身近な存在にどんどんなってきているというのである。
「国全体で困っているのは、農林業などの被害です。たとえば、シカが木の皮を食べてしまえば、皮を経て水分・養分を得る木は枯れてしまいます。これは土砂崩れの原因となります。