7浪して医学部、国家試験に2回落ちて53歳で医師になった女性「それでも諦めなかった理由」
予備校2年目には、志望を変更した充雅さんが九州大学工学部に合格。これを機に34歳と23歳で結婚して、福岡での新婚生活が始まった。
一方、貴子さんは目指す国公立大学医学部には合格できずに、家事をしながらセンター試験を受け続けていたなかで長女を出産。36歳にして、ママ受験生となった。
「実は前年に流産していましたから、子供ができたのは本当にうれしかった。医学部受験をするからといって、子供をあきらめようとは思いませんでした。自分が寂しい子供時代だったから、にぎやかな家庭もほしかった」
やがて九大を卒業した充雅さんが王子製紙に就職して北海道苫小牧市での勤務となり、家族で転居。貴子さん自身も、まったく歯の立たない国公立だけでなく、私立大学も受験するようになっていた。
こんなこともあった。
「社宅から市内の書店に行ったとき、偶然、都内の大学医学部の願書が目に留まるんです。『当日受付有効』とあり、その期限が明日と知った途端、ベビーカーの長女を連れて千歳空港から羽田行き飛行機に飛び乗ってました。何とか間に合ったとホッとしたのもの間、今度は健康診断書が要る、と。実はふたり目の子を妊娠していて、レントゲンを簡単に撮れない。