孤独な遺体を受け入れ続ける夫婦2人だけの葬儀社の覚悟「身寄りがない方も私たちがお見送りします」
多くに共通するのは、ひとりきりで最期を迎えた、いわば孤独死した人たち。一般的な葬儀は行われず、石原さんたちが預かった遺体は火葬場に直接運び込まれる、いわゆる「直葬」だ。
いま、目の前に横たわるAさんも、じつは直葬で旅立つ一人。そのAさんを気遣うようにして、きみ子さんは声をひそめ、話した。
「彼は生活保護の受給者でした。病院で亡くなったけど、誰もいないんです、お身内の方が一人も。だから、火葬の日もAさんを見送るのは、私たち二人だけなんです」
Aさんのように、荼毘に付され骨になるそのときすらも立ち会ってくれる者が誰もいない、そんな人は少なくない。充さんは言う。
「本当に身寄りがない人もいますが、なかには家族や親族が見つかった人もたくさんいました。でも、役所や私たちが連絡をとると『関わりたくない』と、参列を拒まれることも。というか、最近ではそんな人ばっかりです。だから、多くの場合、火葬場で私たち二人だけで故人様をお見送りするんです」
遺体が火葬炉に入れられるとき、二人はそれぞれ、こんなふうに言葉をかけるという。きみ子さんは優しい母のようなまなざしで、
「たいへんだったね、頑張ったね。