連合発表「平均5%超の賃上げ」も9割の雇用者に関係ない…給与増なしでさらなる増税と物価高の懸念も
賃上げの成果を誇る岸田首相だが……(写真:時事通信)
日本銀行(以下、日銀)は3月19日、2016年2月に導入された「マイナス金利政策」の解除を決めた。あわせて長短金利の操作や、上場投資信託などの買い入れの廃止を決定。短期金利の利上げは2007年以来、17年ぶりのことだ。
大転換を後押ししたのは賃金アップだ。日本労働組合連合会(以下、連合)が3月15日に発表した2024年春闘の第1回集計では、平均賃上げ率は5.28%。実に33年ぶりの5%超だ。連合所属の中小企業も4.42%と好調だ。
「大手企業は賃上げを行う余力があっての結果ですが、中小企業は違います。
賃上げどころではない企業が多く、賃上げした企業も人手の流出を防ぐため、厳しい財政のなか“苦し紛れ賃上げ”を断行しているのでしょう」
そう指摘するのは、エコノミストの斎藤満さん。大手企業は純利益が過去最高を更新し、内部留保も約570兆円と、資金が潤沢だ。
そのうえ、岸田文雄首相が旗を振る「賃上げ税制」もある。大企業で7%以上の賃上げを行うと、法人税が最大35%差し引かれるという賃上げ支援だ。
「今なら、国の支援を受けて賃上げができる。