世界最高齢アプリ開発者・若宮正子さん(88歳)銀行員時代はそろばんができない「お荷物」行員だった
「スマホのカレンダーをパソコンと同期させて、出先でもわかるようにしているのですが、まあ、ほとんど全部、ふさがっておりまして、果たしてこれで時間がとれるかどうか」
昨年米寿を迎えた若宮さんだが、81歳のときにゲームアプリを開発したことで人生が激変。全国の自治体の講演会に引っ張りだことなり、政府の「デジタル田園都市国家構想実現会議」に有識者として参加、さらにはデジタル庁の仕事を手伝うなど、多忙を極めている。これらのスケジュール管理、新幹線や飛行機のチケットや宿の手配、講演会場までの移動は、すべて若宮さんが一人でやっている。
「ワンオペのほうが気軽ですよ。この前は、鳥取で講演が終わって、翌日の富山県氷見市の講演の準備のため地元の神奈川県藤沢市に帰ろうと思ったのですが、突然空港が閉鎖に。講演会をキャンセルするわけにはいきませんから、ネットで調べてすぐにJRの駅までタクシーで移動。伯備線の最終電車で岡山まで行って、そこから新幹線で大阪まで。そこで宿泊して、翌朝の特急サンダーバードに乗れば氷見まで行けることがわかったんです。
私、鉄オタでもあるんですよ(笑)」
いたずらっぽくほほ笑んだ。
■高校を卒業して就職した銀行では仕事ができない“お荷物”行員だった
昭和10年、東京都杉並区生まれ。