世界最高齢アプリ開発者・若宮正子さん(88歳)銀行員時代はそろばんができない「お荷物」行員だった
でも、いろいろな人とコミュニケーションがとれるというのが魅力で。家に閉じこもってしまい、人と自由に会えなくなるのが不安だったんです」
周辺機器を含めると40万円ほど。衝動買いだった。
「私の周りには『それだけのお金があったら桐のたんすに上等な着物が買えるのに』と言う人もいましたが、もちろん取り合いません。とはいえ、パソコンなんて会社でも触ったことがなかったから、使えるようになるまで3カ月ほどかかりました。そして、パソコン通信のシニアコミュニティ『エフメロウ』に入会しました」
母の介護のかたわら、シニア向けのコミュニティでデジタルの知識を身につけた。若宮さんいわく「聞けばなんでも教えてくれるインターネットの老人会」だったとか。俳句や都々逸といったアナログな趣味も広がった。
そして、このエフメロウはインターネットの普及とともに「メロウ?楽部」と名前を変え、その立ち上げに若宮さんも関わることに。今では、新しい仲間に、デジタルを楽しく遊んでもらうための手伝いをしている。
「たとえば表計算ソフトのエクセルについて、普通シニア向けの講座では家計簿や血圧をグラフ化する方法を教えています。マニュアルや手順を覚えてもシニアにとってはちっとも楽しくありません。