45歳で離婚、47歳で留学、60代で再婚 マツコが絶賛するアップルパイの美味しさの秘訣
葬儀を終えたら、アメリカに行くつもりだったが、母から「私を残してアメリカへ行くの?」と言われ、留学は諦めるしかなくなった。
母の勧めるまま23歳で結婚。夫は、福井県の港町の歯科医だった。
「42歳で夫を失った母には、私に婚期を逃させまいという強い思いがあり、私も母の敷いたレールに乗って結婚してしまった。今となっては痛恨の極みです。若いころの私は、現在の私とは大違い。主体性が全くなかったんです」
女性は、結婚して家事と育児に専念するのが正解で幸せと、誰もが信じた時代。23歳の平野さんには結婚に抗う術も理由もなかった。
「夫は歯科医としては優秀で、尊敬できる人でしたが、家庭ではワンマンで、性格や考え方には相いれない部分が多かったんです」
価値観の違いは日々、積み重なっていく。初めて友人を家に招いたときのこと。友人が連れてきた2歳の息子が食べ物をこぼすと、
「子供がこぼした床は、早く掃除したらどうですか」と、夫は少し声を荒らげて、注意した。
冷や水を浴びせられた思いだった。続いて怒りが湧いてくる。
「彼女は私の友人ですよ。なぜ、私に言わないのか。強い違和感を持ちました。
夫からは『とにかく目立たないように』と言われ、娘と息子の子育てと教育が私の仕事と思っていました。