「20のうち19落ちた」“離婚のエキスパート”中里妃沙子さん 90年代に直面した“女性弁護士が就職する難しさ”【令和の寅子たち(1)】
「離婚相談を受けるときは、まず相談者の話を細かく聞きます。感情的なことを受け止めながらも、要所要所で、法的に大事なことを伝える。とくに離婚の場合、経済的な問題が重要となってくるので、お金の話をすると感情が落ち着き、冷静に考えることができるのです」
こう語るのは、年間900件以上、累計で6,000件以上の離婚相談の実績を誇る、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表を務める、中里妃沙子弁護士(63)。
現在、離婚問題などに精通した18人のプロフェッショナル集団を束ねる“ボス弁”として、法曹界でも有名な存在だ。
そんな中里さん、学生のころはとくに弁護士を目指していたわけではなかったという。
「高校3年の2学期の親子面談で、担任の先生から、“東北大学法学部を受験しなさい”と、いきなり勧められたんです。当時、法律にはまったく興味がなかった私でしたが、“先生が勧めるなら頑張ってみようかな~”と、軽い気持ちで受験したのが、この道に進むきっかけとなりました」
高校3年のときの担任は、クラスメートの進学に関しては、すべて自分で大学と学部まで決める“変わり種”の先生だったそうだ。
「そのとき先生から言われた言葉は今でもよく覚えています。