「志乃がいなかったら今の俺はない」中尾彬さん 知人へ常に語っていた「最愛妻への感謝」
“10年前の今日は何を食べたのか”を振り返って、2人の思い出を語り合うこともあったそうだ。夫婦で過ごす“日々の小さな時間”を大切にしていた2人。前出の本誌インタビューで、志乃さんはそんなかけがえのないひとときが失われることへの不安についても吐露している。
《「おいしいね」と言って食べてくれる相手がいるから、かつお節だって毎日かいているわけですから。しまいには、食べてもつまらなくなって、何していいかわからなくなるんじゃないか、って。餓死なんてことも考えましたね。あまりにも長く一緒にいすぎて》
終活を進め、身のまわりのものを減らしていた中尾さんが、22年間も毎日欠かさずに食事を記録し続けたのは、そんな愛妻を気遣う側面もあったようだ。中尾さんは雑誌のインタビューで、食日記にこめた思いをこう語っている。
《二人で楽しく生きた記憶が、一人になったときにきっと心の支えになってくれるな》(『清流』’22年9月号)
長年連れ添った日々の思い出をつづった膨大な記録は、遺された妻にとって何よりの形見になるはずだ。愛妻に見守られながら、最期は穏やかな表情で眠るようだったという中尾さん。そのダンディズムとやさしさに満ちた笑顔は、たくさんの人々の記憶の中で輝き続ける。
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