遺族年金制度の男女差を見直す方向で検討 女性の支給条件が厳しくなる恐れも
妻が30歳未満と若くても5年間は受給できますし、夫が亡くなったとき妻が40歳以上65歳未満なら「中高齢寡婦加算」が上乗せされます。
しかし、遺族が18歳未満の子のいない夫の場合、妻の死亡時に55歳以上なら、60歳から遺族厚生年金を受給できます。55歳未満だともらえないのです。
■遺族基礎年金は女性並みに男性の支給条件を引き上げた
制度設計が古く、夫が外で働き妻は専業主婦の家庭がモデルなのでしょう。稼ぎ手である夫を亡くした妻に手厚い制度ですが、共働きの増えた現代には適切ではありません。そこで、男女差を見直すことが検討されているのです。
実は、遺族基礎年金は2014年に男女平等に改正されました。それまでは、18歳未満の子のある妻が遺族となった場合にのみ支給されていましたが、2014年以降は先述のとおり男女に関係なく、妻を亡くした夫にも支払われています。
ポイントは、それまで優遇されていた女性の支給条件や支給額に、男性もそろえた点です。
今回の遺族厚生年金の男女差是正論議でも、いま優遇されている女性に合わせる形で、男性の支給条件などを見直す改正となればいいのですが、年金財政の悪化は皆さんご存じのとおり。