遠山景織子 木村拓哉が『若者のすべて』の現場に差し入れた「疲れが取れて、遠慮せずにいただける」絶妙な逸品って?
木村拓哉と同棲する役を演じた遠山景織子
「『若者のすべて』は、私にとってデビュー作の映画『高校教師』、1994年のドラマ『いつも心に太陽を』に続く出演作で、まだまだ新人時代の思い入れの強い作品です。いまだにカラオケでは、主題歌のMr.Childrenさんの『Tomorrow never knows』を歌うし、イントロを聴くと、工場を映したオープニング映像が頭に浮かびます」
こう語るのは、遠山景織子さん。同ドラマでは、木村拓哉演じる武志にひと目ぼれして、一方的に付きまとう千鶴子を好演した。
「若者が必死で生きていく群像劇ですが、私が登場するのはシリアスなストーリーの息抜き的なシーンでした」
強く印象に残っているのは、鉄棒で逆上がりをする場面。
「台本を読むと、『自慢げに逆上がりをする』とあったのですが、できなくて……。『できません』なんて言えないし、ADさんに背中を押してもらって猛練習しました。本番でも『頑張れ』とスタッフさんたちが応援してくれて、かなりあやしいけど、なんとか成功できたんです(笑)」
ナイフを持つシーンも苦労した。
「ナイフをキラッと光らせるために、光の方向へナイフを傾けるのですが、カメラのズームにもタイミングを合わせなければならず、何回もNGを出して、“こんなこともできないのか、私”って落ち込みました」
緊張を一気に緩めてくれたのは、「ドンマイ、ドンマイ」という声だった。
「木村拓哉さんが、場を和ませてくださったんです。木村さんはすごいムードメーカーで、楽屋に引っ込むタイプではなく、分け隔てなく誰とでも常にコミュニケーションを取っていました。撮影現場では、スタッフさんや出演者が集まる衣装部屋がリラックスできる場所になっていたんですけど、そこに『疲れていると、甘いものが欲しくなるでしょ』と、シュークリームを100個くらい差し入れてくださったことも。たくさんあって、遠慮をせずにいただけました」
昨年末には、多くの思い出が残る同ドラマのブルーレイボックスが発売された。
「SNSで報告すると『私の青春時代の1本です』『人生のバイブルです』など、たくさんのメッセージをいただきました。いまだに皆さんの記憶に残る名作に関われたことを、うれしく思います」
『若者のすべて』(フジテレビ系・1994年)
22歳で親の残した自動車修理工場を営む原島哲生(萩原聖人)、仲間の前から姿を消しがちな上田武志(木村拓哉)、医大を目指し4浪中の青柳圭介(武田真治)などが織りなす青春群像劇。血まみれの哲生と武志がタバコに火をつける衝撃のラストシーンが忘れられない!
【PROFILE】
とおやま・きょおこ
’75年、東京都生まれ。’93年に映画『高校教師』で俳優デビューすると、体当たりな演技が評価され新人賞を総なめ、その後も多くのドラマ・映画で活躍する。
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