《支給額は増えるが…》「年金」4月から“実質年2万1000円の減額”に!いったいなぜ?識者解説

(写真:アフロイメージマート)
「1月24日、厚生労働省は’25年度の公的年金の年金支給額を、前年度から1.9%引き上げることを発表しました。一見、約2%アップのようですが、物価の上昇に歯止めがかからない状況を考えれば、実質的には目減り。つまり“減額”されているようなものです」
こう話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。
「1.9%引き上げられることで、’25年度は夫婦2人分の老齢基礎年金(国民年金)を含む標準的な厚生年金の金額は、月額23万2千784円。前年比で月4千412円増となります」(柏木さん、以下同)
この厚労省の発表は、同日に総務省が’24年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)を公表したのを受けてのもの。政府は年金支給額をどのようにコントロールしているのか。柏木さんが解説する。
「年金支給額の決定は、’04年、小泉政権時に導入された『マクロ経済スライド』というシステムに基づいて調整されています。
このシステムでは、年金の上昇分は、物価や賃金の上昇よりも低く抑えられます。少子高齢化の進む日本で年金制度を維持するための施策とされています」
厚労省が公表した人口動態統計の速報値では、’24年1~11月生まれの子どもの数は66万1千577人にとどまり、通年で69万人程度と初めて70万人割れする可能性が指摘されている。