冬ドラマ“ワースト作品”は『おむすび』とも通ずる「安易なトラウマ設定」が仇に

ついにほとんどの作品が完結を迎えた冬ドラマ。話題作や期待の高かった作品も多かった今クールの勝者と敗者はどの作品だったのか?
TVコラムニストの桧山珠美さんに、良かった作品、悪かった作品を振り返ってもらった。良かった作品としては『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)、『御上先生』(TBS系)、『ホットスポット』(日本テレビ系)があがったが、逆にワースト1位として挙げたのは、『アンサンブル』(日本テレビ系)。
『アンサンブル』は川口春奈(30)演じる現実主義の女性弁護士と、SixTONESの松村北斗(29)演じる理想主義の新人弁護士の真逆なふたりが、さまざまな恋愛トラブル裁判に挑みながら、 そこで得た「恋の教訓」を、自分たちの恋愛にいかしてゆくリーガルラブストーリー。第8話では、幼いころに真戸原(松村)を捨てた毒親の母親が現れたことがきっかけで、迷惑がかかってしまうと考えた真戸原が突然姿を消してしまうという急展開があったものの……。
「これはダメっていうより、過剰な期待があったんだと思います。昔は、史上最低視聴率を持っているなんて言われていたけれど、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの川口春奈さんと、みんな大好き松村北斗さん。この2人が組むってキャスティングだけで楽しみで、そもそも期待値が大きすぎました。
さらに、弁護士ドラマで恋愛にトラウマがある弁護士という設定で、最初は『恋愛なんて無駄。仕事だけでいい』みたいに言っていたわりに、ずっと恋愛ばっかりで、”弁護士の仕事しろよ!”みたいな(笑)。昔の月9だったら、職業は一応弁護士だけどずっと恋愛してるみたいな作品もあったけど、そういう匂いを感じさせられました」
いまひとつだった理由にNHK連続テレビ小説『おむすび』との”ある共通点”をあげる。
「『おむすび』もそうですが、安易にトラウマ設定に頼るのはリスクがありますよね。みんな生きていたらいろいろあるじゃないですか。能天気な人の方が少ないわけで。にも関わらず、”今これ出しときゃいいんでしょ?”って感じで都合よくトラウマが出てくる。安っぽいトラウマ設定は白けてしまうというか、トラウマ繋がりってことで、『おむすび』に匹敵するワーストならこれかもしれませんね」
恋愛ドラマの全盛期だった時代から変化していることも指摘する。
「例えば、『クジャクのダンス』の松山ケンイチさんと広瀬すずさんは、10年前のドラマだったらくっついてたと思うんです。でも、そこはくっつかないで、あくまでも人生の良き理解者的な感じだったじゃないですか。
何でも恋愛中心にせず、今回であれば弁護士の設定にした以上、やっぱり弁護士の仕事もみたいわけですよ。仕事をする中で過去のトラウマとの向き合い方を見せてくれるなら、もっと共感できたと思うんですけど、今回は”なんかこれじゃない”感が強かったですね。
やっぱりキャスティングありきで、松村さんと川口さんが”これやればみんな見るでしょ?”っていう、ちょっとそういう考えが透けて見えた部分があったと思います」
春ドラマは、キャスト頼みではなく、脚本と演出で魅せる骨太な作品がどれだけ出てくるだろうかーー。
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