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《損失は数億円か》池松壮亮 戦後80年のNHK主演映画が“お蔵入り”危機…「脚本を書くにあたって勉強されたほうが良かった」と遺族は苦言

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《損失は数億円か》池松壮亮 戦後80年のNHK主演映画が“お蔵入り”危機…「脚本を書くにあたって勉強されたほうが良かった」と遺族は苦言

池松壮亮(写真:本誌写真部)



「来年1月から放送されるNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の撮影で多忙を極めている池松さんですが、今年8月に主演したドラマに端を発したトラブルが、いまだ解決に至っていないようです」

こう話すのは、ある映画関係者だ。俳優の池松壮亮(32)といえば、13歳でハリウッド映画『ラスト サムライ』(’03年)に子役として出演して以降、数々の映画作品で映画賞を受賞するなど、若手の実力派俳優として第一線で活躍していることで知られる。

来年度には、『豊臣兄弟!』で豊臣秀吉を演じることが決まっており、主人公・豊臣秀長を演じる主演の仲野太賀(32)とともに’26年でのさらなる飛躍が期待されていたが――。

「今年8月16日と17日にNHKで放送された池松さん主演の『シミュレーション ~昭和16年夏の敗戦?』というドラマをめぐって、登場人物のモデルである陸軍中将の飯村穣さん(1888~1976)の孫にあたる、元外交官で国際政治アナリストの飯村豊さん(79)が『祖父が卑劣な人間に描かれ、名誉を毀損している』として抗議しているのです」(全国紙文化部記者)

猪瀬直樹氏(78)の著書『昭和16年夏の敗戦』(’83年)を原案とし、NHKスペシャル枠で終戦80年の関連作品として制作された同ドラマは、’41年の日米開戦直前に首相の直轄機関だった「総力戦研究所」という、かつて実在した研究機関を舞台にしている。

同研究所で日米が開戦した際のさまざまなシミュレーションを行ったものの、出てきたのは「日本必敗」という結論。近衛文麿首相や東條英機陸相に本件を報告したものの採用されず、日本は米国との戦争に踏み切ることに――。番組はこの史実に着想を得てドラマとドキュメンタリーの2部構成で作られ、ドラマパートで池松は開戦の回避を主張する同研究所の研究員・宇治田洋一を演じていた。

「この実在した総力戦研究所の初代所長を務めていたのが飯村さんの祖父・穣さんで、ドラマではこの所長役を國村隼さん(70)が演じていました。
史実では研究所で自由闊達な議論を推奨したとされている所長ですが、本ドラマでは、日米が開戦した場合のシミュレーションの結論を覆そうとする抑圧的な人物として描かれていたのです。ドラマ放送後の8月26日に飯村さんが東京都内で抗議の記者会見を開き、放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てる意向を示しました。10月にBPOの検証委員会は『視聴者において誤解が生じることはないと考え、討議入りしない』と結論付けたものの、飯村さんは現在、名誉棄損での訴訟の可能性も明らかにしています」(前出・全国紙文化部記者)

放送前の飯村さんとの交渉を経て、NHK側はドラマパートでは「所長および関係者はフィクションとして描かれています」とのテロップを挿入し、ドキュメンタリーパートでは「実際の所長はメンバーが自由に議論する環境を整え、人望厚いリーダーでした」と説明。

しかし飯村さんは《こうした配慮はそれなりに評価しますが、ドラマそのものが変わらないのでは、小手先の対応と言うほかありません》(『文藝春秋』2025年10月号)と、依然として疑義を呈している。

■映画化が“お蔵入り”なら損失は数億円も……

また、このドラマは映画化も予定されているという。NHK関係者が明かす。

「このドラマは、映画版での公開も予定されており、すでに作品も完成しているようです。監督はドラマの脚本・演出・編集を担当した石井裕也氏(42)で、ドラマ制作時の撮影素材をベースにした映画化だといいます。


日米開戦記念日である今年12月8日での公開を目指していたそうですが、ドラマに対する飯村さんの抗議に伴い、現在では映画公開のめどは立っていない状況。もしこのまま“お蔵入り”となれば、全体の損失はおそらく数億円にも上ることになるでしょう」

石井監督と池松は、これまで数々の作品でタッグを組んできた盟友として知られる。本作は、そんな2人が“8年越し”の構想の末に実現させた作品だったようだ。

前出の映画関係者が語る。

「‘17年にベルリン国際映画祭に参加した際、石井さんと池松さんで現在のポーランド南部に位置するアウシュヴィッツ強制収容所跡の見学に訪れたそうで、この経験をきっかけに“平和と愛を描く作品を作りたい”と意気投合。5年ほど前に石井さんが池松さんに主演のオファーをし、数年かけて『シミュレーション』の企画に辿り着いたそうです。

その後、ある映画配給会社に断られるなどの企画実現への困難がありましたが、’22年にNHKのドラマ関係者に打診。局としても終戦80年特集の企画を募集していたこともあり、同局でのドラマ制作が決まったといいます」
11月中旬、本誌の取材に対し飯村さんは次のように語った。


「実際にドラマを拝見しましたが、“これはひどいな”と思いました。池松さんのような立派な俳優さんを起用していながら、歴史認識の誤った番組はとても看過できるものではありません。

石井監督と池松さんが企画実現にいたった経緯も存じあげていますが、取材や史実の確認などをふくめ、脚本を書くにあたってもう少し歴史を勉強された方が良かったのではないでしょうか。そうすれば、このようなことにはならなかったと思います。

映画化に関しても、NHK側に対して『映画もドラマと同様になるのであれば、ごく最近の歴史についての捏造・歪曲が定着してしまう』と抗議しており、そこで話が止まっている状況です。現在では年内での訴訟に向けて弁護士と協議を重ねているところですが、NHK側とはいまでも話し合いを続けています。

池松さんのような素晴らしい俳優さんたちが出演されるのですから、生身の人間の心と尊厳を傷つけるようなストーリーを変更されれば良いのではないでしょうか」

飯村さんによる抗議と映画化の“お蔵入り”危機に関してNHKに取材すると、以下のような回答だった。

《ご指摘のとおり、飯村さんは民事訴訟も検討していることを明らかにされており、番組内容が訴訟の対象になることも予想されるため回答は控えさせていただきますが、引き続き飯村さんには真摯に対応してまいります。
なお、映画化に関して、現時点でNHKとしてお答えできることはありません》

池松の所属事務所、ドラマの制作会社のひとつであるRIKIプロジェクトにも本件について取材を申し込んだが、期日までに回答はなかった。

果たして映画化の行方は――。

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