「気分転換したいよね」と言ったら小屋がたった!『救命病棟24時』俳優が明かすフジテレビ全盛期ドラマの勢い
『救命病棟24時』にも出演した元朝ドラヒロイン・須藤理彩
「初主演ドラマが朝ドラ『天うらら』でした。NHKの撮影現場は、未熟な新人俳優の私をじっくり育てようとする雰囲気がありました。でも、『救命病棟24時』では一人前の俳優として扱われます。“ここで通用しなかったら、俳優の仕事は向いていない”という覚悟を持って臨んだんです」
こう語るのは須藤理彩さん(49)だ。同ドラマでは、臨機応変な対応を求められた。
「台本を覚えても、監修する救急医から『この場合、この処置はしません』と指摘されれば変更になります。注射の打ち方一つでも、通常時と緊急時で異なると教えられました」
救命病棟のリアルを伝える工夫が凝らされていたのだ。
「もっとも印象的なのが、シーズン1、第1話のオープニング。
救急搬送された患者が処置室に運ばれるまでを、医療スタッフの姿を追いながら、ワンカットで撮影したんです。朝から何時間もリハーサルしても、本番では動きとセリフのタイミングが合わない。ワンカットを撮るのに翌日の早朝4時、5時まで丸一日かかりました。でも、あれだけ苦労したのにオンエアでは“え、これだけ!?”と思うほど短かったんですね(笑)」
撮影スタジオに、巨大な病院のセットが組まれた。
「待ち時間は“病院内”の待合室のソファに集まって、みんなでしゃべったり、疲れたら病室のベッドで横になったり。いつも病院にいる雰囲気だったから、ほかのキャストと『気分転換したいよね』と話していたら、スタッフさんがプレハブ小屋を作ってくれました」
そのスタッフからブーイングを浴びたことも。
「まだ若くて、朝までお酒を飲んでしまったことがあったのですが、『須藤、酒臭え!』といわれて、水をがぶ飲みしました」
共演者とも回を増すごとに絆が強まったという。
「松嶋(菜々子)さんは朝ドラ出身ということもあって、共通の話題がありました。
江口(洋介)さんは私の中では“あんちゃん”のイメージでしたが、撮影開始当初は医療用語や医療手技の勉強で、一人でいる時間が多かったんです。でも、シーズン2になると撮影にも慣れたようで“あんちゃん”に。仲間内でゴルフをしたり、『最近、電車に乗ってないよね』と話題になったときは、『じゃあ、みんなで乗ろうか』ということに。江口さんや松雪(泰子)さんがいるのだから、乗客のみなさんも驚かれたのでは(笑)」
『救命病棟24時』(フジテレビ系、1999~2013年)
救命救急センターを舞台に、天才外科医・進藤一生(江口洋介)や配属されたばかりの研修医・小島楓(松嶋菜々子)など、生命の現場を支えるスタッフの奮闘を描く。2013年まで続く長期シリーズになり、小島楓は医局長に大出世!
【PROFILE】
すどう・りさ
1976年生まれ、神奈川県出身。1998年の朝ドラヒロインとして人気を博し、多くのドラマ、映画で活躍する。WOWOWオリジナルドラマ『連続ドラマWシャドウワーク 』、Netflixで配信中の人気ドラマ『今際の国のアリス』シーズン3にも出演。