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《審査員・粗品も指摘》『THE W』のレベルは賞金1000万円に“見合っていない”のか?識者語る“女性限定”の「意義と難しさ」

女性自身
《審査員・粗品も指摘》『THE W』のレベルは賞金1000万円に“見合っていない”のか?識者語る“女性限定”の「意義と難しさ」

霜降り明星・粗品(写真:本誌写真部)



12月13日に放送された『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』(日本テレビ系)で、過去最多のエントリー数1044組の頂点に立ったニッチェ。しかし、最も注目を集めているのは審査員を務めた霜降り明星の粗品(32)だったかもしれない。

今年3月の『第14回ytv漫才新人賞決定戦』(読売テレビ)で辛口ながらも説得力ある論理展開で、まれにみる鮮烈な審査員デビューを果たして話題をかっさらった粗品。『THE W』の審査員が発表された11月29日には自身のXで《俺がTHE Wを救う》と投稿。

12月11日には大会公式Xが投稿した動画内で粗品は『THE W』について「レベルが低すぎる」と酷評しつつ、「日テレが血の海になったらすみません。でも俺も本気でやりますから」と審査員に臨む並々ならぬ覚悟も滲ませた。

そうした宣言の通り、大会当日も出場芸人たちに的確かつ辛口なコメントを連発。そして、ニッチェの優勝が決まり、大会を振り返ってコメントを求められると、こう言い放った。


「賞金1000万円にしては、レベルの低い大会やったと思うんですが、でも、面白い人も何組かいたし、最終決戦残った3組の方も、これからももっと活躍してほしいです。ニッチェさん優勝おめでとうございます」

“ネタのレベルが賞金1000万円に見合っていない”と言い放った粗品の発言には、一部から“審査員が口にすべきではない”という批判の声があがったいっぽう、“よく言った”と共感の声も寄せられていた。

確かに、『M-1』や『キングオブコント』といった他のお笑い賞レースと比較して、『THE W』はネタのレベルが低いと指摘する声は決して少なくなかった。

そこで、お笑い評論家のラリー遠田氏に話を聞くと、「感じ方は人によるかもしれませんが」と前置きした上で次のように話した。

「まず、粗品さんが言うように1000万円は大金ですし、お笑い賞レースの中でも最高峰として認知されている『M-1』と同額です。だからこそ、”それだけの価値があるのか”というのが問われることになるんでしょうね」

実際にエントリー数だけみても、今年の『THE W』が1044組だったのに対し、今年の『M-1』は11521組と、文字通り桁が違う。それでも『THE W』が賞金を高額に設定する理由についてラリー氏は次のように考察する。

「1つは”権威付け”の意味があると思います。
テレビ局と吉本興業が主催するお笑いコンテストということで、単なる番組の企画ではない、権威ある大会だということを示したいのでしょう」

主催者サイドが権威ある大会を目指す一方で、決勝進出コンビのほとんどが『M-1』や『キングオブコント』などの、男女問わない賞レースでは結果を出せていないとの指摘もある。

「たしかに今年の『THE W』のファイナリストの中には、『M-1』や『キングオブコント』の決勝経験者はいませんでした。ただ、紺野ぶるまさんはピン芸人の大会の『R-1』で決勝に進んでいますし、女性芸人全体のレベルが低いわけではありません。

また、『THE W』初代王者のゆりやんレトリィバァさんは、『R-1』でも優勝しています。『THE W』のファイナリストの中で個々人で結果を出している人はたくさんいます」

ラリー氏は「そもそもお笑い界の男女比はおそらく9:1ぐらいで、圧倒的に女性芸人の母数が少ない」という。それはお笑い界の構造的問題である。

「『THE W』は毎年行われていて、優勝した人はその後はもう出ないことが多い。そうすると、ただでさえ母数が圧倒的に少ない中から、最も優秀だった1組が毎年抜けていくことになる。
ただでさえ数が少ない中で、トップになった人が抜けていくとなると、出場者の性別の縛りがなくて参加者の多い『M-1』や『キングオブコント』に比べると、大会のレベルが下がりやすい。また、そもそも女性の方が数が少ないので、実力の振れ幅が少なく、上位層でもやや物足りないと感じられるということもあるでしょう。これは決して女性芸人のレベルが低いということではありません。どんなことであっても、特定の属性の限られた人間を集めて何らかの競争を行って上位何組かを決めた場合に、それを人間全体の上位何組かと比べたら、相対的にレベルが下がる可能性が高いのです。

たとえば、『人間全体の中で足が速い人ベスト10』と『乙女座でB型の人間の中で足が速い人ベスト10』を比べた場合、前者の方が足の速さで優れた成績を残していることになるでしょう。これは単なる統計的な事実です」

歴代の優勝者を見れば、初代のゆりやんに続き、阿佐ヶ谷姉妹、3時のヒロインと、現在も幅広く活躍している面々が並ぶ。ほかでは発掘できなかった新しい才能や、やや荒削りでも面白いセンスを持っている芸人に光を当てる大会ということで存在意義がある一方で、難しい問題も抱えているとラリー氏は指摘する。

「女性芸人限定にしたことで”『THE W』はレベル低い”とか、”女芸人はやっぱり面白くない”などという指摘が起こっているとすると、果たしてそれは女性のためになってるのかという批判も出てきます。
その辺が難しいところですねメリット・デメリットの両方が明白にあるので、批判されやすい要素が揃った大会でもあると思います」

意義と問題点をはらんだ『THE W』。果たして今後どのように変わっていくのか。

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