笑顔で過ごす、知恵を養う――美輪明宏さんに教わる「2026年の人生がうまくいく」心得
(写真:御堂義乘)
90歳の節目を迎えた2025年、令和を生きる次世代へ向けたメッセージを一冊の本にまとめるなど、いつも私たちに“しなやかに生きるヒント”をくれる美輪明宏さん。新しい年を迎えるにあたり、いま一度見直すべき心構えについてお話しいただきました。
■
2025年も、国内外でさまざまな出来事がありました。世界的な事象でいうと、やはり長期化しているロシアとウクライナ、そしてイスラエルとハマスの戦争です。
アジアでも台湾、沖縄周辺の緊張がより高まっています。先日、中国軍機が自衛隊の戦闘機にレーダー照射するという行為がありました。まるで、第二次世界大戦が始まる前と似た状況になってきているようにも思えます。
人間は、同じ過ちを何度も何度も繰り返します。
そもそも世界中の人々が、すべて同じ思想や価値観で生きているわけではありません。しかし、いつの時代にも愚かな指導者が現れ、自分と異なる思想や価値観を否定し“われこそが正義だ”と、一つの価値観を武力で押しつけて正当化しようとする。
そこで犠牲になるのは、いつも罪なき民たち。それでも人間は戦争を繰り返すのです。
私は先の戦争を経験しています。戦争のない平和のありがたみを身に染みて感じます。日本は絶対に戦争に巻き込まれないようにしないといけない、そう強く感じております。
国内では、高市早苗さんが日本初の女性首相になりました。
リーダーに求められるのは冷静な判断力です。感情をあらわにせず、頭にくることを言われても決して感情的にならない。これは政治家として、いちばん大事な要素です。決断を下すまでに、感情的になって慌てたり、嘆いたり、憂いたりする人間がトップに立つと、国の重要な判断を誤る可能性があります。
リーダーに、男も女も関係ありません。物事を常に冷静に見据えて、国民のために理性的に解決策を考え、実行していく。そういう強いリーダーを、日本のみならず世界中が求めているのです。
昨年は戦争をはじめ悲しい出来事や景気の悪い話題が多かったいっぽうで、人々に感動や喜び、そして勇気を与えてくれるニュースもありました。
メジャーリーグの大谷翔平選手が所属するドジャースが、ワールドシリーズで2連覇。そして自身も4度目のMVPを受賞するという偉業を成し遂げました。試合中継では、よくベンチの様子が映されますが、大谷選手はいつもチームメイトと仲がよくて、周囲から好かれていることがよくわかります。
日本人のいいところは、ほほ笑みを振りまくことができること。大谷選手はそれを意識的にするのではなく、自然にやっています。
野球の本場アメリカで、実績だけではなく、その人間性も認められているのですから、とても素晴らしいことですね。
私が見てきた中で、人生がうまくいく人に共通しているのは、「素敵な笑顔をしていること」です。いつも笑顔で過ごしていれば、必ず活路が見出せます。
同じ考え事をするのでも、ほほ笑んでするのと、泣きそうな顔をしてするのとでは、その先の結果が大きく違ってきます。ほほ笑みはプラス思考を生み、ポジティブな発想につながります。同時に、考え事をするときにも心にゆとりが生まれるので、知性が働くのです。
ほほ笑みを絶やさない――。そうすれば、きっと人生もうまくいくでしょう。
そしてもう一つ意識していただきたいことは、先ほども申しましたが、「感情を抑制できる人間になること」です。いまの世の中には無機質なもの、無関心があふれています。そして格差が広がり、価値観も多極化しています。
そんな不安定な時代だからこそ、感情を抑えて自分自身を見失わないことがより重要になってきています。
自分の好きなことだけをやって、自己主張ばかりしていると人生はうまくいきません。世の中そんなに甘くはありませんから。
そうならないためには、常に感情をコントロールできる“理知“を手に入れること。理知とは、理性と知恵で物事を判断する能力のことです。
政治家はもちろんのこと、国民も、世界の動向を冷静に見極めて、分析する目を養うことが大切です。グローバルな視点で世界を見て、自分はどう生きていくべきなのかを考える姿勢をもちましょう。その心がけが、不安定な時代でも、周りに流されず、自分を見失わずに生きていくことにつながります。
生きていればいろんなことが起こります。大事なことは、限られた時間をどうやってうまく使うか。たとえば、仕事で失敗したり、人間関係で悩んだりすると、ネガティブな思考に陥ってしまいがちです。でも、ずっと思い悩んでいても何も解決しません。それこそ時間のムダです。それに対処するためには、頭の中を切り替えるのです。
まず物の見方、考え方を変えるクセを身につけましょう。マイナスからプラス思考になるように発想の転換を図るのです。
クヨクヨしているより、ニッコリ笑いましょう。
そして冷静に物事を処理する方法を考え、判断できる力を身につける。それがいまの時代、とても大切な素養となっています。
そのためには学ぶことが大事。ただし、ただ勉強して“知識を増やす”のではなく、「生きるうえでの知恵を養うこと」が重要です。本能や感情に支配されることなく、論理的に物事を考えるための“理知を磨く”ことを、ぜひ心がけてください。
身につけた理知が、人間関係や仕事において、光明をもたらしてくれます。さらにその先にある、自分の人生や将来の生き方も見えてくることでしょう。
きたる2026年、ほほ笑みを忘れず、感情をコントロールしながら、あなた自身を成長させる生き方をなさってください――。