「朗報!’26年度から保険料が下がる人も」経済のプロ・荻原博子さんが解説
経済ジャーナリスト・荻原博子さん(写真:本誌写真部)
中小企業の従業員など約4千万人が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の保険料率が、2026年度から下がる見通しです。組合員の給料が上昇し、保険料収入が増え、協会けんぽの財政が安定したためといわれます。
保険料率は地域によりますが、2012年度から平均10%が続いていました。2026年度からは0.1ポイント下がって9.9%となる模様。確定すれば34年ぶりの引き下げです。
2025年は、春闘で2年連続5%台の賃上げを達成し、給料の額面が上がった人が多かったでしょう。ですが、物価の影響を差し引いた実質賃金は10カ月連続のマイナスです(2025年12月、厚生労働省)。
しかも、社会保険料の負担は右肩上がりです。
家計調査で2000年と2024年を比較すると、年収は633万円から697万円と約1.1倍ですが、社会保険料は年58万円から83万円と約1.4倍です(2025年4月、第一生命経済研究所)。給料が上がってもそれ以上に社会保険料が増えれば、暮らしは厳しくなるばかり。協会けんぽの保険料率引き下げが、ほかの健保組合にも波及することが望まれます。
■ガソリン暫定税率の廃止と円高も、家計の厳しさは続く
2026年はほかにも、これまでと違う動きが見られます。
一つはガソリン暫定税率の廃止です。ただ、すでにガソリン価格の急落を防ぐ国の補助金が入り、2025年12月15日には全国平均が1リットル159.7円と4年ぶりの150円台になりました。この時点で暫定税率廃止後と同水準ですから、今後もガソリン価格は150円台後半が続くと思います。車が“生活の足”という人には朗報でしょう。
もう一つは円高です。日銀は2025年12月19日に政策金利を0.75%程度に引き上げました。30年ぶりの高水準となり、徐々に円高へと推移するでしょう。
円高になると、輸入品は安くなるはずです。まだ店頭には円安のころに契約した在庫が並びますが、徐々に値下げが期待されます。
半面、円高の悪影響を受ける企業が多いため、2026年の給料は伸び悩む可能性があります。家計の厳しさはまだ続くと思います。そんななか高市首相は、子ども1人当たり2万円の給付と電気・ガス代の補助、おこめ券などの「重点支援地方交付金」に加え、“103万円の壁”を2025年分から160万円に、さらに178万円まで上げると胸を張ります。
しかし、国民は生活が上向く実感を持ててはいません。
そこで、高市首相は「選挙」というカードを早めに出すのではないかと、私は思っています。切り札は「食品の消費税を2年間ゼロ」。そのために、盟友で元財務官僚の片山さつきさんを財務大臣にすえたのでしょう。
物価高に疲弊する国民にとって2年間、食品だけでも「消費税ゼロ」はインパクト大。家計が楽になると国民に受け、自民党は大勝。高市人気はさらに高まり、長期政権になるかも……。これはあくまでも一つの予想ですが、高市首相の動きを見守りたいと思います。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯たまる健康習慣』(主婦の友社)など多数。