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「日本の安全基準には欠陥」原子力市民委員会の座長が警鐘、テロ対策施設も未完成…柏崎刈羽原発の再稼働で起こる「最悪のシナリオ」

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「日本の安全基準には欠陥」原子力市民委員会の座長が警鐘、テロ対策施設も未完成…柏崎刈羽原発の再稼働で起こる「最悪のシナリオ」

東日本大震災での福島第一原発事故以来、東電では初めて再稼働が決まった柏崎刈羽原発(写真:共同通信)



東日本大震災後、福島第一原発事故以来、東電では初めてとなる新潟県柏崎刈羽原発の再稼働が決まった。しかし周辺住民42万人への安全確保には課題が山積みだ。

「安全性は確認された」として昨年11月21日、柏崎刈羽原発再稼働の容認を表明した新潟県の花角英世知事(67)。新潟県議会は12月の議会で、知事を追認。東京電力(以下、東電)はこの1月にも6号機を再稼働させる見通しだ。

ところが、新潟県民の過半数は、再稼働に難色を示している。県が2025年9月に実施した県民の意識調査では、〈再稼働の条件が整っているか〉という問いに対して、〈そうは思わない〉など、不安を示した県民が6割を超えているのだ。

「避難道路も、いつ完成するのかわかりません。
テロ対策用の施設も未完成。百歩譲って、これらの設備が万全であるならまだしも、完成していないうちに再稼働するなんて論理的にありえません」

そう指摘するのは、「柏崎刈羽原発の安全性を市民の手で検証する市民検証委員会」(以下、市民検証委員会)のメンバーで、新潟国際情報大学教授の佐々木寛さん。

花角知事は11月21日の記者会見で、「避難路の整備は10年かかるものもある」と述べている。加えて、「すべての避難道が完成しても、“実効性のある避難計画”にはなりえない」と、佐々木さんは危惧している。

「現在、県は6方向の避難ルートを整備する計画を掲げていますが、原発事故と地震や豪雪などが重なる “複合災害”が起きた場合、避難は限りなく不可能になります。

私たち市民検証委員会が検証したところ、6方向の避難道が完成しても、対象地域の住民を十分に避難させることは物理的に難しいことがわかっています」

■豪雪、地震、原発事故が重なると避難は不可能

避難を困難にさせる大きな要因のひとつが“豪雪”だ。県のホームページによると、平成以降の平均累計積雪量(一冬で降る雪の深さの総量の平均)は、4m65cm。

「除雪しながら避難することは不可能に近い。
そのうえ、地震で道路が寸断されたら車両を走らせること自体困難です。それは、新潟県中越沖地震や能登半島地震でも証明されています」(佐々木さん)

原子力規制委員会が定める「原子力災害対策指針」によると、原発で重大事故が発生した場合、原発からおおむね半径30km圏内の住民に対して、“避難”あるいは“屋内退避”を求める、とされている。そのうち、“即時避難”となる5km圏内には約1万8000人が居住し、状況に応じて屋内退避や段階的避難を行う30km圏内には、約42万人が居住している。つまり、事故の状況によっては、この約42万人が避難を強いられる可能性がある。

「原子力災害の場合、ただ逃げるだけでなく、被ばくした放射線量をチェックするスクリーニングポイントが必要です。しかし、その数も足りていません。避難者の受け入れ先についても、住民の了解など十分に詰められていないのです」(佐々木さん)

原子力市民委員会の座長で龍谷大学教授の大島堅一さんも、「日本の安全基準には欠陥がある」と、こう指摘する。

「日本政府が原発政策の拠よりどころとしている国際原子力機関(以下、IAEA)は、原発の安全を5つの層で守る“多重防護”という考え方を示しています。
1から4層は立地や設備など“技術の話”ですが、最後の第5層は住民を守るための避難計画という、いわば“最後の砦とりで”です」

ところが日本では、この最後の砦……つまり避難計画が、ほとんど検証されていません」

本来、原発の安全性を一元的にチェックすべき原子力規制委員会だが、「“避難計画”は審査の対象外」なのだ。

「つまり、自治体まかせで、安全性が担保されていないわけです」(大島さん)

“最後の砦”が機能しないとなると……。

「能登半島地震のように家屋が軒並み倒壊すれば、“屋内退避”ですら不可能。住民は、避難も屋内退避もできず、ただ被ばくするしかない」(大島さん)

この状態で、過酷事故が起きれば、その被害は計り知れない。

「柏崎刈羽原発で福島と同レベルの事故が起き、仮に風が内陸に向いたら、被害は比べものにならないくらい大きくなります。日本の人口の3分の1、あるいは半分近くに影響が及ぶ可能性だって、理論上は否定できません」(佐々木さん)

さらに、こんな最悪のシナリオも現実味を帯びてきている。

■日本中の原発がテロの標的になる可能性も

「自衛隊がアメリカと共に戦う “有事”になった場合、日本中の原発が標的になる可能性があります。いくつもの原発が同時に破壊されれば、核兵器による攻撃と同じで、日本全体が壊滅するなんてことも冗談ではなくなります」(佐々木さん)

前出の大島さんは、「そもそも、東京電力に原発を動かす資格があるのか」と疑問を呈す。


「東電は、福島第一原発事故のあとも、柏崎刈羽原発で信じがたい不祥事を繰り返してきました。代表的なのが“ID不正”です。他人のIDで原発に入ったという企業として最低限のルールさえ守られていなかった。しかも、テロ対策として重要な侵入探知システムが故障していたのに長期間放置していました。福島の事故を経験してもなお、安全文化は根づいていないと言わざるをえません」

こうした指摘に対し、改めて東電に見解を求めた。

企業体質については、〈より一層、核セキュリティの意識を組織全体で高めるとともに、一過性のものとならないよう推進・改善していく〉。

避難道については、〈国と新潟県が協議を進めており、可能な限り速やかに整備されていくものとして承知している。当社としては、住民避難を伴う原子力災害を発生させないよう、ハード・ソフトの両面から安全性の取り組みを続けていく〉。


また、テロ対策については、〈順次進めており、テロや意図的な航空機衝突を含む重大事故への対策として、消防車や電源車、代替循環冷却車といった設備を高台に分散配布し、シビアアクシデント対策を整えているところ〉とのことだった。

果たして、これで県民の命や財産は守られるのか。

新潟県にも見解を求めたが、「議会対応で多忙のため回答困難」とのことだった。

万が一、重大事故やテロ等が起きれば、その犠牲は一地域にとどまらず、日本全体へと広がることを忘れてはならない。

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