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衆院選では各党が“消費税減税”アピールも…識者が試算“年金だけでは物価高に勝てない”ワケ

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衆院選では各党が“消費税減税”アピールも…識者が試算“年金だけでは物価高に勝てない”ワケ

高市早苗首相(写真:時事通信)



「異例の短期間で繰り広げられている選挙戦ですが、物価高騰が長引いているなか、各政党は消費税減税を声高にアピールしています」(全国紙政治部記者)

衆議院が解散した1月23日、厚生労働省は2026年度(令和8年度)の公的年金の支給額を公表した。4年連続のプラス改定で、国民年金(老齢基礎年金)は、前年度より月額1千300円アップの7万608円(満額、1956年4月1日以前生まれの人は7万408円)、厚生年金は会社員の夫と妻のモデル世帯で同4千495円アップの23万7千279円となった。

SNS上では《国民年金7万円台!》など喜びの声も躍ったが、気をつけなくてはならないのは、支給額が額面ではアップしていても“実質的には目減り”しているという点だ。

「年金額は物価や賃金の変動に合わせて毎年改定されます。物価が上昇したぶんがそのまま反映されるわけではなく、年金の支え手でもある現役世代の負担を抑えながら給付を支える調整の仕組みである『マクロ経済スライド』が働いています。そのため、物価・賃金が上昇した局面では、年金の上昇率はそれらより低く抑えられるのです」

そう解説するのは、ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さん。昨年の消費者物価指数(CPI)は総合で3.2%上昇、すなわちインフレだった。いっぽう、現役サラリーマンの給料の平均「名目賃金変動率」も2.1%上昇。
いずれもプラスであったが、年金は賃金上昇率を参考に改定。物価上昇率より低く抑えられ、結果“実質目減り”となっている。

「上場企業のなかには5%程度の賃金上昇を実施するところもありますが、すべての企業が同じようにできるわけではありません。現状では、企業の賃上げが物価高に追いついていないのです。

しかも、CPIは季節変動がある生鮮食料品を除いて算出することになっている。しかし、家計にもっとも大きな打撃を与えているのは生鮮食料品の値上げです。年金生活者にとっても、支給額アップはなかなか実感しづらいところです」(山崎さん、以下同)

消費者物価指数は近年右肩上がり。特に2022年から急上昇カーブを描いている。


「2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことを背景に、小麦の値段が爆上がりしました。その後、原油高などから製造・物流コストや人件費が上昇、そのぶんが価格に転嫁されることに。

さらには急激な円安の影響で、輸入品が値上がりし、あらゆるモノの値段を押し上げていきました。

昨年は“インフレの優等生”の一つだった米の価格が急騰する“令和の米騒動”が起こっただけでなく、酷暑など気候変動で野菜なども値段が上がり続けています」

さらに今年は、卵1パック300円超の地域が出てきたり、天候不良で玉ねぎの生産が追いつかず、安売りをすれば行列ができるといったことも日常的に見る光景だ。深刻な物価高のなか、冒頭のように選挙では物価高対策への対応が大きな争点の一つとなっているが――。

「食料品が値上がりを続けているので、食品の消費税減税は家計にとって一定の恩恵はあると思います。しかし、仮に減税が決まったとしても、実施されるまでには時間がかかるでしょう。

同時に、急な解散総選挙の実施によって今年度予算の成立がずれ込むことが確実視されています。
経済対策も後手にならざるをえず、今の物価高のダメージはそうそう解消されないとみています」

気になるのは「モノの値段はいつまで上がるのか」だろう。専門家によって意見は分かれているが、山崎さんはこう話す。

「今後、日本経済がかつてのようなデフレに戻ることはないと考えられます。物価は毎年2.5~3.5%は上がるものだと考えて生活を見直したほうがいいでしょう」

毎年3.5%の物価上昇が続くとどうなってしまうのか。

現在1杯1千円の値段で食べられるラーメンを例に考えてみよう。毎年3.5%値上げが続くとしたら、10年後には1杯約1千410円に、20年後には約2千円になる計算だ。そうなると、老後の資産設計にも大きな影響が――。

「よく言われる『老後に2千万円が必要』というのは、2017年の総務省の『家計調査』が根拠になっています。
当時、モデル世帯の月の年金受給額と実際の支出の差が月5.5万円のマイナスだったので、年金だけでは1年で66万円、老後30年間では約2千万円が不足するという計算でした。

しかしその後、コロナ禍で支出が減ったことなどもあり、家計調査の数字では『老後に1千200万円の不足』くらいになっています」

とはいえ、2025年からは75歳以上の後期高齢者の医療費の「2割負担」が本格化しはじめ、2026年8月以降は高額療養費制度が見直しに。医療費全体が押し上げられること、さらなる増税の可能性などから、年金とは別に備えておきたい老後資金はなお「2千万円」が一つの目安になると山崎さんは指摘する。

そこで、「目標となる老後資金」はどれほどになるのか。

「仮に、前年並みの年3.5%程度のインフレが続いたとすると、現在2千万円のお金の価値は、10年後には2千821万円、20年後には3千979万円に。すなわち約4千万円の資金が必要になります。

インフレが少し落ち着き、年2.5%程度で上昇した場合でも、10年後で約2千560万円、10年後には約3千277万円となります。現役世代は将来の資産設計を見直したほうが賢明でしょう」

賃金アップがあてにならないとなれば、できることは日々の節約で支出を減らすこと、働く期間をのばすこと、運用で資産を増やすこと、などになってくる。


「私の家庭でも、スーパーやドラッグストアのプライベートブランド(PB)など、値段が安価な割に質のいい商品を選んでいます。また、バターや醤油のように1カ月以上使う商品はちょっと高いものを選び、少し高級感を楽しんでいます。メリハリをつけると節約も楽しめますね」

老後のお金を上手にやりくりするために、年金の受給開始を繰り下げることと、夫婦で体が動くうちはパート・アルバイトで収入を得ることを山崎さんは提案する。

「まず、遅く年金をもらい始める繰下げ受給です。年間受給額が65歳時点では約84万7千円のところ、70歳まで繰り下げると約120万円、42%アップします。1~2年でも遅らせるだけで老後の収支が大きく改善します。

また、短時間でも働くことをおすすめします。今は時給が上がってきているので、フルタイムで週3日、1日4~5時間なら週5日働けば月に10万円以上の収入を得ることができます。


最近はファストフード店やスーパー、コンビニなどで働くシニアの方をよく見かけます。人手が不足しがちな週末などは時給も高いので、土日限定で働くという方法もあります」

また、日本銀行の金融政策の転換と追加の利上げにより、定期預金の金利が上昇傾向にある点にも注目だ。現在の預金を、高い金利の定期に預け替えをしてもいいという。ただし、ムリな投資はNGだ。

「年間120万円まで非課税で積立投資できる新NISAの『つみたて投資枠』で、金融庁の審査基準を満たした投資信託に月1万?3万円程度の金額を毎月積み立てていくのもいいでしょう」
物価上昇が続くなか、現金をもっていては、その価値がどんどん“目減り”するのが現実だ。物価高騰のダメージに対し、政治が施す処方箋になかなか期待ができない以上、私たちも、お金も、もっと働かなくてはならないようだ――。

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