住宅ローンに影響も…長期金利の上昇で“やるべきこと”《経済ジャーナリスト・荻原博子さんが解説》
経済ジャーナリスト・荻原博子さん(写真:本誌写真部)
長期金利は1月20日に2.38%と、27年ぶりの高水準を記録しました。その後も2.2%前後を推移し、高止まりの状態です。
長期金利とは、金融機関が1年以上資金を貸し出す際に適用する金利のこと。代表的な指標は、10年もの国債の金利です。
国債など債券は、価格が下がると金利が上がる“反比例”の関係があります。日銀はマイナス金利政策のころから、多くの国債を買い入れていました。すると、国債は品薄になり、価格が上がって、金利は下がる、という形で長期金利を低く抑えてきたのです。
2024年夏、日銀は国債の買い入れを徐々に減らすと方向転換。
すると、債券市場に国債が多く出回るようになり、価格が低下、金利の上昇につながっています。
また、先の衆議院議員選挙では多くの政党が「消費税減税」を訴えました。投資家たちは消費税の減税で財源が不足し、国債の発行が増えると予測。今後は市場に国債が増え、価格が下がり、金利が上がるだろうとの見方が広がり、金利上昇に拍車がかかったのです。
ですが、2%台の長期金利は、異常な状況ではありません。昭和のころは8%台になることもありました。ひとまずご安心を。
■返済額の急増は免れるが人生設計が狂うことも
とはいえ、長期金利の上昇は私たちの生活に大きな影響を及ぼします。
特に住宅ローン。なかでも、住宅ローンの8割を占める「変動金利」には金利上昇に伴う2つのルールがあります。
まずは「5年ルール」です。変動金利ではおもに半年ごとに金利を見直しますが、いくら金利が上がっても5年間は返済額を変えません。家計への影響を抑えるのがメリットですが、金利が上昇したぶん増えた利息は「未払い利息」になって総返済額を膨らませ、返済期間が長くなるデメリットも。
さらに、5年後返済額を見直す際も、返済額は前回の1.25倍までに抑える「125%ルール」があります。返済額の急増は免れますが、ローン全体を見ると未払い利息が積み上がって総返済額が増えますから、返済期間の長期化など、人生設計が狂うことも。
これらを避けるには、繰り上げ返済で返済元本を早く減らすことが大切です。
金利の上昇が続くと予想する人は固定金利に借り換える手もありますが、わざわざ高い固定金利に換える人は少ないでしょう。せっせと繰り上げ返済を。
いっぽう、長期金利は預金金利にも影響を与えます。三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは2026年2月から普通預金の金利を0.3%に引き上げました。2024年3月までは0.001%だったので300倍です。
また、定期預金金利はネット銀行を中心に1%を超えるものも出てきました。しかし、住宅ローン金利に比べて、預金金利の引き上げは遅い印象があります。
金利の上昇は物価の上昇を抑える効果もあります。
期待を込めて行く末を見守りましょう。
【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数。