「大量の失業者が発生する」落選した元立憲幹部の秘書が語る大惨敗後の“悲痛な現実”
会見での野田佳彦&斉藤鉄夫共同代表(写真:時事通信)
「だから僕も仕事を探さないといけないわけですよ。どうしようかな、無職だ。ははは」
自嘲気味に乾いた声で笑うのは、2月8日投開票の衆院選で、中道改革連合として出馬するも落選した元立憲民主党幹部議員の秘書を務めるA氏だ。
中道改革連合は、公示前の172議席から49議席へと激減。比例名簿の上位を独占した公明出身者は前回の24議席を上回る28議席を獲得した一方で、立憲出身者は前144議席から大幅に議席を減らし21議席と縮小した。
立憲出身者の苦戦は凄まじく、党の重鎮たちが次々と議席を失った。中道で共同幹事長を務めた宮城4区の安住淳氏(64)は初当選から10回連続で小選挙区を制してきたが、元タレントで自民党の森下千里氏(44)に惨敗。当選連続19回の小沢一郎氏(83)や岡田克也元副総理(72)なども落選した。
議席を失えば、議員だけでなく、傍らで支えてきた秘書も、一瞬にして収入源を失う。A氏はこう漏らす。
「うちなんか企業献金もないから、本当にやばいですよ。議員だって政党自体がここまで小さくなると余力がないから、党から仕事をもらうこともできない。どうしても大量の失業者が発生しますよ。
落選した議員の秘書だって、普通は政党がある程度の勢力を保っていれば、他の事務所に拾ってもらう道もあるんですけど、党がここまで壊滅的だと、その受け皿すらないですよ。僕も職探ししないと、毎月の住宅ローンだけは変わらずに引き落とされていきますから……」
落選した議員は、選挙の翌週には早々に議員会館内にある自室の明け渡しを迫られるという。
「すぐ退去しないといけないんで、今ごろうちのボスも一生懸命片付けていますよ。
もう、その次を目指しての活動にはなっていますが、やっぱり落ち込んでいますよ。安住さんだって選挙の夜に”逃げた”なんて言われてますが、ショックすぎて人前に出られる状況じゃなかったんだと思いますよ。独断で大博打に打って出たわけだから、それを外しちゃった責任感があるんでしょうね」
A氏にとっても、ここまでの惨敗は予想外だったという。少なくとも選挙に関しては、現場での反応は「よかった」という。「民主党がボロ負けした’12年や’14年の安倍一強時代の選挙のときって、街の反応も悪かったんですよ。それこそ目の前でビラを破られたり、当時はまだ僕も若かったんですけど、ビラ配りしてても『若いんだから、こんな民主党なんて政党の手伝いしちゃダメだよ』なんて言われたり(笑)。
でも、今回は街の反応は決して悪くなかったんです。危機感というか、1党に振れるだけでいいのか、左右の極論でいいのかと。
”中道の旗も必要だよね”っていう声も多くいただいたのも事実です」
しかし、SNS時代の選挙戦で、中道の政策は有権者に届かなかった。
「SNSによって選挙が大きく変わりましたよね。今はSNSでバズった政党が勝つ時代。1度バズれば切り取り動画がタイムラインを席巻して、それがそのまま投票行動につながる。今回は自民党、その前だと国民民主や参政党。知事選では石丸旋風を巻き起こした東京都知事選に兵庫県知事選。
中身はなくても回るから、悪気なく切り抜き動画が量産されて、消費されていく。今は政策を訴えても全く届かないんです。
正直、参ったなという気持ちです。ただ、いいか悪いかは別としても、こういうSNSの人気は水物で、政党の賞味期限のターンは短いです」
自民党で単独3分の2議席という強権を手にした高市氏は、憲法9条の改正に手をつけるとみられている。
「自衛隊を明記して、緊急事態条項を作るつもりでしょう。アメリカの意向を優先する”対米追従”にかなり傾いている高市さんは、”やりたい”が先行していますが、何のためにかが見えてこない。それは果たして国益に叶うのか」
各ブロックの比例区票を合計すると、自民党は約2100万票、中道は約1040万票を獲得している。
「別に日本人の半分が自民党に投票したわけではなく、小選挙区というシステムで多くの声がかき消えてしまっただけです。それでも1000万もの票をいただいた事実に最後の希望があります。
右に傾きすぎている今の日本の真ん中に、誰かが旗を立てなければいけないと思います。
1つの勢力が3分の2も取るような状態は必ずしもいい国だと思っておりませんので。絶望に浸っている暇はありません。議員たちはもう、次の一歩を踏み出しています。まあ、僕はその前に、職探しから始めなきゃいけないんですけどね(笑)」
秘書たちの新たな戦いも始まっている――。