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「極めて危険な兆候」文化庁 国立の博物館・美術館に収益ノルマ&未達成なら“閉館”も…現役職員が本誌に語った“怒り”

女性自身
「極めて危険な兆候」文化庁 国立の博物館・美術館に収益ノルマ&未達成なら“閉館”も…現役職員が本誌に語った“怒り”

3月上旬、国立の博物館や美術館の運営について「収益ノルマ」を定めた文化庁(写真:時事通信)



「昨年12月ごろから財務省との予算折衝が厳しいことは薄々伝わってきました。それで今回の報道があり、収益ノルマの達成が難しい館内では悲鳴の声が聞こえてきています」

こう話すのは、国立博物館・美術館で働く現役職員の一人だ。

3月上旬、文化庁が国立の博物館や美術館の運営について「収益ノルマ」を定めたことが報じられ、物議を醸している。

この件に関する新聞報道では“ノルマ未達成の場合、閉館も含めた再編を検討する”とも記載。ネット上では《#文化庁による博物館美術館潰しに反対します》というハッシュタグを付けた抗議のコメントが殺到し、大衆から文化人も含めた大きな議論の対象となっている。

「今回、文化庁が定めたのが、来年度(今年4月)から‘30年まで5年間の次期中期目標です。掲げられた数値目標は、展示事業に関係する自己収入額の割合であり、これを最終年度までに65%以上にするとしています。また次々期中に、法人全体で100%を目指すことも示しています。
つまり、展示に関しては“国費に一切頼るな”ということ。

文化庁が自己収入額の割合に “収益ノルマ”を入れたのは初めてのことです。この達成度を館ごとに評価し、‘29年度時点で自己収入額が40%を下回るなどした場合は『社会的に求められている役割を十分に果たせていない館』とみなされ、“閉館”も含めた再編の対象になると報じられています」(全国紙文化部記者)

3月5日、この件について、文化庁はネットメディア『ITmedia NEWS』の取材に答えた。同庁の担当者は取材に対し《展示事業については、今は公立の博物館でも「入場料」をとっています。ここで一定の収入を確保してもらい、質の高い展示や来場者の利便性向上などにつなげるのが目的です》と回答。

再編については《40%を下回ったという点だけをもって、すぐ再編ではありません》とし、閉館については《「閉館」という言葉は中期目標のどこにも書いてありません》と報道を一部否定した。

■「挑戦的な展示や研究が出来なくなってしまう」

しかし、冒頭の職員によると、現場での実感は大きく異なるという。「内部にいる者の実感としては、政府は“閉館”という選択肢を十分に考えていると思います。
別の新聞報道には、財務省幹部が“撤退”や“統合”を考えていると発言しているようです。こんなの事実上の“閉館”と同じですよ」

この“収益ノルマ”の制定が問題なのは、博物館・美術館の“展示内容”や“研究価値”を大きく変えてしまうからだという。

「大問題なのは、“挑戦的な展示や研究が出来なくなってしまうこと”です。限られた予算の中で一定の利益を稼ぐことが前提となりますから、各館は収益が見込めない展示・研究に対して消極的にならざるを得ないでしょう。

館によってはその展示物の性質上、どんなに収益を見込んだ展示をしても“稼ぎの天井”が見えているのです。たとえ収益の見込める展示だとしても、館の大きさや立地などのインフラ面を考えると、政府が掲げる目標をクリアすることが物理的に困難な館があるのは明らかだからです」(前出・国立博物館美術館の現役職員)

別の国立博物館・美術館の現役職員は怒りをあらわにし、こう語った。

「例えばファシズムの特徴として『文化・芸術の軽視』がよく言われますが、博物館・美術館の意義を現在の“市場価値”という指標のみで図ろうとするのは極めて危険な兆候だと思います。

財務省および文化庁の言い分は“多くの館が政府の交付金に依存し過ぎている”ということだそうですが、美術館・博物館は必ずしもお金にならない文化財の保存や修復も大事で、利益優先のアミューズメントパークじゃない。
もしこの方針が続いた場合、今後、日本の文化意識は著しく下がることは間違いないと思います」

いま、文化に対する我々の意識が問われている。

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