「年収の壁」家計のプロが徹底解説!《今さら聞けない110万の壁、130万の壁、160万の壁…》
働き方によっては年間20万円もの差が出ることも
2025年は、パートやアルバイトで働く妻たちにとって大転換期となった。
「夫の扶養の範囲内で働いていた妻たちの所得税の非課税枠が103万円から160万円に引き上げられました。わたしのところにも、『これからどのような働き方をしたらいいのか?』といった相談がよく来るようになりました。老後資金など、将来のライフプランの計画を立て、夫婦で働き方を考えることをおすすめしています」
そう語るのはファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。さらに今年は2026年度税制改正により所得税が発生する「年収の壁」を、160万円から178万円まで引き上げる法案が今国会で審議されている。(2026年、2027年の2年間限定の特例措置)。
「年収の壁」には3種類あるので、それぞれ知っておいたほうがいいと言うのは、ファイナンシャルプランナーで資産運用のプロの塚越菜々子さんだ。
「『壁』は所得税や住民税といった税金に関する壁だけでなく、年金や健康保険の加入が義務付けられる社会保険の壁、夫が受け取る給与の所得から差し引かれる配偶者控除・配偶者特別控除の壁と、主に3つがあります。
社会保険に加入すれば、一時的に手取りは減るものの、将来の年金が増え老後の備えが手厚くなります。また、病気で働くことができなくなったら傷病手当金がもらえるなど、長期的な安心を得られます。
ただ、50代になって長時間働くのは体力的にキツイという人もいますし、家にいる時間を大切にしたいという人もいます。それぞれのご家庭の事情に見合った働き方を選ぶといいでしょう」(塚越さん)
これから大切なのは「壁」を避けるのではなく、壁を理解し自分たちに見合った働き方をすること。働き方によっては年間20万円もの差が出ることも。「壁」を越えた瞬間、何が起こるのか?それぞれの壁を一つずつ見ていこう。
【住民税がかかる110万円】
住民税は住んでいる都道府県や市区町村に対して納める税金で、年収110万円を超えると住民税の支払いが生じる。
「全国共通して110万円ではなく、住んでいる地域によって金額が異なります。
たとえば、東京23区や政令指定都市など1級地に住む人は110万円ですが、県庁所在地など2級地に住む人は106・5万円、そのほかの3級地は103万円となっています。住む地域によっては年収110万円以下でも住民税がかかるので、自分の住んでいる地域の級地を調べておきましょう」(塚越さん、以下同)
【所得税がかかる160万円】
所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に応じて支払う。
「所得税の支払いが発生する103万円の壁は、給与所得控除や基礎控除の引き上げによって160万円に引き上げられました。しかし、年収が160万円を超えてもすぐに所得税はかかりません」
年収130万円を超えると社会保険料の支払いが発生するので、「社会保険料控除」で税金を減らすことができるのだ。実際に所得税がかかる目安の年収はおよそ188万円以上(40歳以上65歳未満)になる。
【社会保険料がかかる106万円・130万円】
社会保険とは、企業で働く人のケガや病気、介護などに備える公的な保険。妻の収入が106万円を超えて、(1)週の所定労働時間が20時間以上、(2)賃金月額8.8万円以上、(3)勤務先の従業員数が51人以上、(4)雇用期間が2カ月を超える見込み、(5)学生ではないという要件を満たすと、社会保険料の負担が発生する。
「将来的に(2)と(3)は撤廃される予定です。
106万円で社会保険に加入していない人でも、年収が130万円を超えると、夫の扶養から外れて自分で国民年金、国民健康保険に加入します」
【配偶者控除/配偶者特別控除がなくなる123万円・201.6万円】
夫の給与から引かれる配偶者控除は、妻の年収が123万円を超えると受けられなくなる。また、配偶者特別控除は妻の年収が160万円を超えると段階的に減額されて、201.6万円を超えるとなくなる。
「配偶者控除の額は最大38万円なので、配偶者控除がなくなるとどのくらい税負担が増えるのか、夫の給与で計算してみるといいでしょう」
また、配偶者特別控除は夫の年収に制限があり、年収1千95万円を超えると段階的に減少し、1千195万円を超えると利用できなくなる。年収に合わせて、働き方や収入調整を検討しよう。
【扶養控除がなくなる123万円】
16歳以上の親族を扶養している人の所得税から38万円、住民税33万円が控除される「扶養控除」は、その親族の年収が123万円を超えると受けられなくなる。
「ただし、大学生年代(19歳以上23歳未満)の子がいる家庭は、子の年収が150万円未満であれば、特定親族特別控除が受けられます(所得税63万円、住民税45万円)。年収が150万円を超えると段階的に控除の金額が減少します」
最近は時給がアップしているので、働きすぎないように、離れて暮らす親子なら特に連絡を取り合うようにしたほうがいいだろう。
働き方によっては年間20万円もの差が出ることも。
損をしない働き方を選んでいこう。