「限りなく誤解を招く」と批判続出…富山市観光協会 Xに投稿した「ホタルイカの刺身」に“生食疑惑”浮上も「適切な下処理が施されたもの」とキッパリ否定
富山市観光協会のX公式アカウントより
春になり、富山湾に押し寄せ、今年も旬を迎えたホタルイカ。富山県農林水産総合技術センター・水産研究所が2月に発表した漁況見通しによれば、今年は例年よりも多く来遊する見込みだという。
そんななか、Xではホタルイカの食べ方をめぐって物議を醸していることが——。
《今日はホタルイカの天ぷら。噛んだ瞬間、旨味爆発。これが富山の春の幸せ》
3月20日、ホタルイカの天ぷらの写真を添え、Xでこう投稿したのは富山市観光協会の公式アカウント。
続く投稿では《そして、ホタルイカの刺身。新鮮だからこそ味わえる、とろける旨さ》と紹介し、大葉に乗ったツヤのあるホタルイカの刺身の写真を公開。
別の投稿では、これらの料理について、富山駅に隣接する商業施設に入る飲食店で食べることができることもアナウンスされていた。
ところが、ホタルイカの刺身を紹介した投稿に《新鮮》との言葉もあったことから、“生食では?”と懸念するユーザーが続出。投稿には、次のようなコメントが多数寄せられることに。
《これを見てゾッとしたお刺身は、この姿ではないです。内臓を取り出さないといけないし、目玉やくちばしも取り出さないと不快感バリバリですよ》
《富山市観光協会の公式の投稿としては、ちょっと問題あるなあ。非冷凍で非加熱の刺身は、ホタルイカはダメに決まってる。「新鮮だからこそ」と書いてるだけで、非冷凍非加熱とは書いてないけど、限りなく誤解を招く》
《解凍品をまるで生のように投稿するのやめたほうが良いと思う。生のやつはやっべぇ寄生虫いるから、内臓抜いて食べるんだよ! 1日経ったやつは内臓抜いても生食しないようにしようね!》
さらに投稿には、下処理の必要性が記された「コミュニティーノート」も付されていた。
「ホタルイカには旋尾線虫(せんびせんちゅう)という寄生虫の幼虫が潜んでいることがあり、生食することで腸閉塞や皮膚疾患を引き起こす可能性があります。そのため生食は避け、加熱および冷凍の下処理が必要です」(飲食店関係者)
厚生労働省の公式サイトでは’00年6月に《生食用ホタルイカの取扱いについて》と題し、次の4項目がアナウンスされている(以下、「」内は厚生労働省の公式サイトから引用)。「1.生食を行う場合には、次の方法によること。
(1)−30℃で4日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力を有する条件で凍結すること。(同等の殺虫能力例:−35℃(中心温度)で15時間以上、または−40℃で40分以上)なお、凍結処理を行った場合、製品にその旨表示を行うこと。
(2)内臓を除去すること、または、内臓除去が必要である旨を表示すること。
2.生食用以外の場合には、加熱処理(沸騰水に投入後30秒以上保持、もしくは中心温度で60℃以上の加熱)を行うこと。
3.販売者、飲食店等関係営業者に対し、生食用としてホタルイカを販売等を行う場合には、1.にある方法により処理したものを販売するよう指導すること。
4.一般消費者に対し、ホタルイカを生食する場合の寄生虫感染の可能性について情報提供を行うとともに、生食する場合には1.にある方法による旨を啓発すること」
桜も咲きはじめ、お花見シーズンが到来したいっぽう、全国各地では連日のように食中毒の発生も報告されている。石川県金沢市の保健所では本格的な行楽シーズンを目前に、3月23日から観光地などにある飲食店の衛生管理状況を確認する「行楽地一斉監視」を開始したばかりだ。
富山県も人気スポットが多く、ゴールデンウイークにかけて観光客の増加が見込まれるが……。果たして、富山市観光協会がXに投稿した「ホタルイカの刺身」は生食だったのだろうか?
本誌が3月23日に富山市観光協会を取材すると、同日18時すぎに担当者より文書で回答があった。
まず、ホタルイカの刺身の写真については、「投稿したホタルイカの刺身は、富山市内の飲食店において提供されている料理を撮影したものであり、飲食店において一般的に行われている適切な下処理が施されたものです。当協会が調理や加工を行ったものではありません」と説明。指摘が相次いだ“生食疑惑”をキッパリと否定したかたちだ。
投稿をした経緯については、「本投稿は、富山湾の春の味覚として知られるホタルイカ料理(刺身や天ぷら等)を紹介し、富山市の食文化の魅力を伝える観光PRの一環として投稿したものです。
観光客の皆様にも安全に富山の味覚を楽しんでいただけるよう、飲食店や鮮魚店等で提供・販売されている形での楽しみ方を紹介しております」とのことだった。
また、ホタルイカの刺身の写真に批判や心配の声が多数寄せられたことについては、次の見解が寄せられた。「投稿に対して様々なご意見があることは承知しておりますが、ホタルイカの生食については適切な処理が必要であることは広く知られており、当該投稿は飲食店等で提供されている料理を紹介する趣旨のものであり、個人が採取したものの生食等を推奨する意図はございません。
また当協会としては、観光客の安全面の観点からも、飲食店等で適切に処理された形での喫食を紹介する情報発信に努めております。今後も地域の食文化の魅力を伝えるとともに、安全面にも配慮した情報発信に努めてまいります」