《慎重派から変化》真飛聖 前向き思考の裏に…大尊敬する岡江久美子さんの影響
真飛聖(写真:本誌写真部)
「稽古場に入ると、台本のページをめくっても、めくっても、私がずっと喋っているんですよ。“他の誰かが喋りださないかな?”と思っているんですけど、待てど暮らせど、誰もいなくて。“これどうなっていくの?”っていう……」
こう言って稽古初旬の感想を語るのは女優の真飛聖(49)。4月9日から新国立劇場 小劇場で、上演される一人舞台『ガールズ&ボーイズ』で主人公の女性「わたし」を演じる。
今回、初めて一人芝居に挑む真飛。出演を決意したのは台本を最初に読んだ時だという。
「いままでは、客観的に“こういう物語なんだ”とストーリーを理解して、その後に自分の役を深く知っていくという方法でやってきました。
ただ今回は、いつの間にか自分が物語のなかに入り込んで行った感覚でしたね。
声を出すつもりはなかったのですが、気が付いたら声に出して台本を読んでいました。
こういった経験は初めてで、台本が面白かったというよりも物語のなかに自分が存在していた感覚。もう読み終わった時には、『ああ、これはやる。やるもの』と出演を決めました。
人生で辛いことが起きるなかで、それすらも生きるエネルギーに変えて前に進む主人公の姿が描かれていて、そういった部分に共感できましたし、かっこよく、素敵だと。そういったところを、面白がりながら演じることが出来たらいいなと感じました」
人生を前向きにとらえる考え方は、コロナ禍に経験した“別れ”に影響を受けていた。
「どうせなら楽しくいたいなといった考え方になったのは、コロナ禍以降かもしれないですね。
岡江久美子さん(享年63)と仲が良かったんです。
久美子さんの存在は、私にとって大きくて。前向きで、明るく、ひまわりみたいな方でした。いつも『ゆうちゃん(真飛の愛称)大丈夫だよ』みたいな感じで、こう背中を押して貰っていた存在が、いなくなってしまいました。
本当によく思い出すんですよね。久美子さんのことを。毎回舞台を観に来てくれていたし、ドラマも全部観てくれていました。『内容はちょっとよくわかんないんだけど、面白かった』って感想をくれて。そういうのって大事だったりするじゃないですか。
それが久美子さんなんですよね。作品の内容云々ではなくて、『ゆうちゃんがそこに居ることが良かった』とか、『ゆうちゃんが存在していることそのものがいい』とか、何て言うんだろう。全肯定してくれる。
どこどこの演技が良かったと具体的に褒めることも大事だけど、面白みや楽しさ、好きって気持ちを素直に表現できるのって、人間って複雑化しているから、難しかったりしますけど、凄い素敵で。
私の心のなかにいる久美子さんの存在はすごく大きくて、どうなるかわからないなかで、毎日を思いきり生きようとか、楽しもうという風にだいぶ変わりました。もともとは慎重派で全てちゃんとしないとダメだと思っていたのですが、“まあいっか精神”がちょっとずつ芽生え始めてきて、それを面白がれるようになったのはコロナ禍を経てからです」
長年の宝塚ファンだったという岡江さん。現役時代から仲良くさせてもらっていたようで、真飛の一人芝居への挑戦も、彼女の存在に背中を押されていたようだ。
「分からないからこそ面白かったりするのが人生だから。
どうなるか分からないけど挑戦してみるとか、どうなるか分からないけどやりたいとか。もしできなかったらしっぽを丸めて引き返せばいいみたいに思っていて。
50歳になってもまだやったことがないことや、まだ行ったことがない所が“まだまだあるぞ”と感じていて。今回の一人芝居も初めてだけど、この歳で出会えたのも早くはないかもしれないけど遅くもないというか……。舞台を通してワクワクできたらなと思います」