池松壮亮 “名誉棄損で係争中”のNHK主演ドラマが映画化へ…原告遺族は“告発本”も準備の泥沼展開
池松壮亮(写真:本誌写真部)
6月1日、実在した「総力戦研究所」を題材にした映画『開戦前夜』が、7月31日に公開されることが決定した。
本作の原案は、作家・猪瀬直樹氏のノンフィクション作品『昭和16年夏の敗戦』(’83年)。監督を務める石井裕也氏(42)が脚本・演出もを兼任し、主演を池松壮亮(35)が演じる。本作は、真珠湾攻撃に伴う日米開戦の直前、日本の敗戦を予測しながらも戦争をそれを止められなかった総力戦研究所の人々の姿を描いた映画となる。
この映画は、’25年8月にNHKで放送されたドラマ作品『シミュレーション~昭和16年の敗戦~』のドラマパートが元になっている。今回、138分の完全版として映画館での劇場公開が決定したようだ。
しかし、昨年、このNHKドラマをめぐって“ある事件”が起きていた。
「昨年夏に『シミュレーション』をめぐって、登場人物のモデルである陸軍中将の飯村穣さん(1888~1976)の孫にあたる、元外交官で国際政治アナリストの飯村豊さん(79)が『祖父が卑劣な人間に描かれ、名誉を毀損している』として抗議しているのです。
本作に登場する総力戦研究所の初代所長を務めていたのが飯村さんの祖父・穣さんで、ドラマではこの所長役を國村隼さん(70)が演じていました。史実では研究所で自由闊達な議論を推奨したとされている所長ですが、本ドラマでは、日米が開戦した場合のシミュレーションの結論を覆そうとする抑圧的な人物として描かれていたのです。
昨年8月のドラマ放送後に飯村さんは抗議の意を示す記者会見を開き、放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てる意向を表明。BPOは申し立てを取り下げる結論を下したものの、昨年12月には『祖父の名誉が傷つけられた』として、NHKや映画監督、制作会社を相手どって550万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていたのです」(全国紙文化部記者)
今回の映画公開決定の発表に際し、本作の公式サイトでは製作委員会による声明が発表されていた。ドラマバージョンが現在裁判において係争中であること認めたうえで《しかし、本作によって特定の個人を糾弾したり、名誉を毀損したりする意図は全くなく、私たちの主張の法的正当性は裁判において認められるものと強く確信しております》と主張。また映画では誤解が生じないために、ドラマと同様にテロップの明示などの適切な対応を行っていくとも綴られていた。
しかし裁判で係争中の映画が公開されることについては、ネット上で疑問の声も少なくない。
《歴史を振り返って現代の教訓にする!って言いながら、登場する実在の人をモデルにした人物を、酷く頑迷で如何にもステレオタイプの帝国軍人を遠慮なく作り上げ、こうして戦争へ至った!なんてやり方をする作品のどこに学べばいいのだろうか》
《法的にどうかはともかく、配慮が足りなかったことは事実。
実在の所長の尊厳を傷つけている。正反対の人物に捻じ曲げたのだから》
《この言い訳が苦しいのは、東條英機など実在した人物も登場するなかで、この研究所の所長、という、明らかにモデルとしている人物が特定されるにも関わらず、架空の人物だとしているところ。しかも、完全な悪い人物として造形している。遺族としては到底納得のいかない言い訳》
さらに飯村氏は次なる一手を用意しているようだ。前出の全国紙文化部記者が明かす。
「じつは飯村氏は今年の6月上旬に『総力戦研究所の真実――歴史の法廷に立つNHK』というタイトルで、今回の事件に関するNHKへの告発本を準備しているのです。
版元である筑摩書房の公式サイトではすでに同書の書影が公開されており、内容紹介には《総力戦研究所所長・飯村穣を卑劣な人間として描いた史実歪曲ドラマはなぜ作られたのか。NHKと映画監督の制作姿勢を告発し、研究所の机上演習の真の姿に迫る》と記載されています。
今後、同作品をめぐる議論が長引くことが予想されます」