川崎市の“海賊船”8年間放置、浸水の末に市が“税金”3300万円で解体「所有者に負担してほしい」地元住民の恨み節
川崎市の船着き場に放置された“海賊船”(撮影:梅基展央)
太いマストに、無数のロープ。斜めに傾いた“海賊船”は、神奈川県川崎市の運河で沈没しかかっていたーー。
6月17日、8年間にわたり放置されてきた遊覧船が、川崎市の行政代執行により解体されることになった。
「この船は、かつて遊覧船として活躍していた『アニバーサリークルーズ号』です。2018年ごろに、突如、運河にある桟橋に現れ、以後、そのまま放置されてきました。2025年、強風の影響で船が傾き、1階部分が浸水しました。市はこのまま残すのは危険だと判断し、解体を決めました」(社会部記者)
驚きなのは、その撤去費用だ。海上でバラバラにしたうえで、すべての残骸を回収する必要がある。
「一部報道によると、総額で3300万円かかるそうです。実際、解体当日は専用の船の上にショベルカーを載せて作業をおこなうという、非常に大がかりなものになりました。すでに浸水してしまっている以上、陸にあげて作業をするのは難しかったのでしょう」(前出・社会部記者)
地元住民は憤っている。
「税金を使って解体だなんて、所有者に負担してほしいですね。請求したところで払えないでしょうけど。本来であれば、別のことに使えたおカネのはずですから」
行政はこうした市民の声をどう受け止めるのか。担当者に、行政代執行に至った経緯を聞いた。
「正確には、2018年10月から(船は)係留されており、その後、桟橋の所有者と本船の所有者との間の係留契約の解消が確認された時点からは、放置されていると認識しています」
放置後、市は何度も指導をしてきたという。
「所有者は市からの行政指導に従わず、本船が2025年2月に傾いて危険な状態となってからも、適切な対応を取らないことから、行政代執行を視野に入れた対応を検討しました。手続きとしては、2026年4月に発出した撤去命令に従わなかったため、行政代執行により本市が、所有者等に代わって撤去をおこないました。
現在は市の予算で執行していますが、最終的に確定した費用を所有者及び運航会社に請求します」
市民からも、船への対応を求める声があったという。
「(税金を使って撤去をすることについて)市民からの直接的なクレームがきておりませんが、放置船舶の周辺企業からは、船が漂流したら危険なので、何とかしてくれというお声をいただいたことはあります」
前出の社会部記者が語る。
「バブル時代、この船のような豪華な遊覧船が数多く建造されました。船内のロマンチックな雰囲気で食事をするなど、カップルや家族向けに需用がありました。とはいえ、やはり船である以上、通常の店舗と比べ、ランニングコストは高くなってしまいます。今回のケースでいえば、解体費用すら出せないほど所有者は困窮してしまったということでしょうね」
海賊と同じぐらい迷惑な話だ。
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