《家計に追い打ち》今夏“過去最大級”スーパーエルニーニョ発生で記録的酷暑に…作物不作で専門家は 「野菜3割高」と警鐘

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《家計に追い打ち》今夏“過去最大級”スーパーエルニーニョ発生で記録的酷暑に…作物不作で専門家は 「野菜3割高」と警鐘

過去140年で最大級の暑さが予想されるという(写真:Ryuji/PIXTA)



6月10日、気象庁は世界各地に異常気象をもたらすエルニーニョ現象が、春から発生していると発表した。これにより、食料品の値上げラッシュに、追い打ちをかける恐れが出てきた。

異常気象の専門家である三重大学大学院生物資源学研究科の立花義裕先生は、こう警鐘を鳴らす。

「『エルニーニョ』とは、ペルー沖の海水温が平年より高温になり、逆に太平洋の西側の海水温が下がる現象のことです。西太平洋の海面水温が下がるので、日本は冷夏になりやすい。

ところが、通常の2度程度ほど水温が上がるエルニーニョに比べ、今年は水温が4度ほど高温化する『スーパーエルニーニョ』になる可能性が高い。すると西太平洋側も高温になり、日本を含め世界中が酷暑となります。

多くの地域は干ばつなどの異常気象となり、収穫量が激減するなど食物に深刻なダメージを与え、多くの輸入品によって支えられている私たちの食生活にも大きな影響が出るでしょう」

これまでスーパーエルニーニョは約20年周期で発生していたが、前回は2023年夏に発生したばかり。
地球温暖化により発生間隔が縮まっているという。

3年前、日本は記録的猛暑となり、35度以上の発生地点数が観測史上最多に。秋も観測史上1位の高温を記録した。その影響で、米が高温で白く濁る白未熟粒が増加し、一等米の比率が59.6%と、2004年以降で最低水準に。流通量減などで値上がりし、次年の高騰化につながった。

また猛暑による高温障害で夏野菜や果物も大打撃を受けた。しかし、今年発生した場合は、これ以上の酷暑になりそうなのだ。

「発生すれば、過去140年間で最大級となり、2023年夏を上回る暑さが予想されます。


問題は、いつスーパー化するか。8月ごろに発生すると、温暖化のピークの暑さに重なり、40度を超える日が日本各地で起こるでしょう。秋にずれ込めば残暑が厳しくなり、雨の降る場所は局地的で、強い線状降水帯の影響を受けやすい。大型台風の影響も出るでしょう。エルニーニョは約1年弱続きますから、発生が遅くなればなるほど、翌年の夏に影響が出ます」(立花先生、以下同)
これまでスーパーエルニーニョが発生した年に、過去最高気温を更新してきた。しかも、いったん上昇した気温はなかなか下がらず、数年にわたって影響が持続する。

2028年ごろまでは猛暑が続き、農業や漁業に大きな影響を及ぼします。これまでと違う進路での大型台風や豪雨の被害、少雨など異常気象が頻発する恐れがあります」

■野菜は全体で3割程度の値上がりが予想される

異常気象による影響がすでに始まっていると話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。


「沖縄では台風や長雨の影響で夏野菜が高騰しています。ゴーヤの価格が4倍、オクラも値上がりしています。猛暑の影響は、トマトやきゅうりなど夏野菜の価格を押し上げそうです。全体で3割程度の値上がりが考えられます」

暑さに強い夏野菜も、多くが気温35度を超える日が続くと、成育不良や品質低下が起こりやすくなる。冷涼な気候を好むキャベツやレタスなども、結球不良を起こしやすい。2023年11~12月の農林水産省の価格調査では、玉ねぎ価格が395円/kgとなり平年比43%増と跳ね上がった。さらに、北海道産の不作によってピーク時は一時60%増の事態に。

心配なのは、米価格だ。
また、コシヒカリ5kgが6千円台なんてことになる可能性は?

「高温と少雨によって不作になるかもしれませんが、値上がり幅は限定的だと思います。今は備蓄米も十分にあるので、過去のように在庫不足による過去最高価格を更新するようなことはないはずです」(柏木さん、以下同)

猛暑が長引いた場合、電力使用量が増え、生産コストが爆上がりするリスクも。

「牛や鶏は暑さに弱いため、大型ファンやミスト冷却などの設備を設けたり、長時間稼働させたりするなどの負担もあるでしょう。暑さ対策にかかるコスト増の影響も値上げの一因になりそうです」

世界の異常気象も、食卓に影響を及ぼす。ブラジルの干ばつでコーヒー価格が高騰。それを受け、缶コーヒーやカフェチェーンなどの値上げが相次いだ。

「影響が大きいのは、アメリカやカナダ産の小麦やトウモロコシなどの穀物。家畜の飼料代や小麦粉の価格が高騰することで、肉類や卵、牛乳に加え、チーズやバターなどの加工品、パンや麺類などまで値上げが広がる可能性があります」

スーパーエルニーニョによる海水温の上昇は、魚の生息環境を変化させ、漁獲量にも影を落とす。
「たとえばペルーではプランクトンが減少し、イワシの漁獲減少が過去に報告されていますから、今年も影響大。すでに、海水温の上昇による漁獲量減少が見込まれており、ブリやマダイなど養殖魚のエサに使うペルー産の魚粉が、前年比57%高という高騰が続いていると報道もあります」

■見切り品をうまく利用したり「シェア買い」も

一方で、6月18日に米国とイランの停戦が正式署名され、中東情勢が一時落ち着いたことで、さらなる原油急騰による“ダブルパンチ”は免れそうだと柏木さんは指摘する。では、止まらない食品の値上げに対して、できることはあるのだろうか?

「当日の料理に使うなら、“見切り品”をうまく利用したり、献立を決めずにスーパーへ行き、特売狙いでお得な食材を選び、そこから献立を組みたてましょう。業務用の加工野菜もお得で、比較的安く購入できますよ。

また、スーパーエルニーニョの影響で、一部の魚が局所的に大漁になることがあり、そういったお得な魚も出回るはずです」

インターネット上などで同じものを買う仲間を募り、複数購入による割引を受けて手に入れる「シェア買い」サービスも注目されているという。

「お米や調味料などの保存品や、規格外の野菜や果物を安く手に入れることができます」

前出の立花先生は、“地産地消”をすすめる。

「地元で生産された食材を地元で消費すれば、輸送距離が短くなり、燃料消費も減るため、結果として二酸化炭素排出の削減につながります。何より、新鮮で、価格が安定していてお得なことが多い。
地元の農家や漁業者にお金が回ることで、地域の産業が支えられるメリットも。そういう一人ひとりの意識が、地球温暖化防止につながっていくんです」

この夏は、酷暑対策に加えて、家計を守るための、さらなる工夫が求められそうだ。

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