担当医が独占告白「『痛い、痛い』と血管痛に耐えながら、最後まで生きようと」16歳少女が違法勾留で“餓死”

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担当医が独占告白「『痛い、痛い』と血管痛に耐えながら、最後まで生きようと」16歳少女が違法勾留で“餓死”

点滴の痛みを訴えつつ、最後まで生きようとしたるなさん(写真:遺族提供)



母親が施設長を務める兵庫県内の障害者施設で働いていた、るなさん(仮名・当時16歳)は昨年6月、利用者への虐待容疑で逮捕され、18日間にわたって勾留された。その後、不起訴となって釈放されたものの体調は回復せず、同年12月に亡くなった。

遺族側は、るなさんが逮捕・勾留中の取り調べなどによって重度のストレス障害や摂食障害を発症し、低栄養状態のまま死亡したとして、死亡から一年となる今年6月17日、国と兵庫県を相手取り約1億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

るなさんが亡くなる直前、自宅で治療にあたっていたのが在宅医療を行う水野クリニック(大阪府河内長野市)の院長、水野宅郎医師だ。水野医師は、初めて往診した日のことを今も鮮明に覚えているという。

■「初めて診て、これは危ないのではないかと思った」

「私が初めて往診したのは、彼女が亡くなる10日ほど前でした。逮捕前に約37キロあったという体重が19キロまで落ちていて、『これは危ないんじゃないか』と思うような状態でした」

当時のるなさんは、自力で立ち上がることはもちろん、寝返りを打つことさえ難しいほど衰弱していたという。一方で、意識ははっきりしていた。


「声は小さかったですが、会話はできました。トイレへ行くにも、自分では歩けないので車いすに移乗し、付き添いの方に連れて行ってもらうような状態でした」

水野医師によると、主な診断は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と摂食障害、そして低栄養状態だったという。

「逮捕・勾留のあとから食べられなくなっている経過がありましたので、心的外傷による影響が大きいと考えられました。加えて、低栄養や肝機能障害も認められました」

るなさんは食べる意欲そのものを失っていたわけではなかったという。母親によると、自分でも懸命に食べようとしていた。ただ、衰弱した身体には十分な栄養を一度に入れることができなかった。

「最後のほうは、急に高カロリーの栄養を入れると危険だと言われていました。そのため、栄養ドリンクのようなものや、おもゆを口にしていました。
少しでもカロリーを摂れるように、オイルを使った栄養補助もしていました」(母親)
■「食べようとしても食べられない」

食べたい気持ちはある。それでも思うように食べられない――。実際には口にしても体が受け付けなかった。

「食べようとしても食べられない。食べても全部もどしてしまう。そういう状態だったのです」(母親)

栄養状態を改善するため、点滴による治療も行われた。だが、「その治療も決して楽なものではなかった」と水野医師。

「脱水状態が続くと、点滴の際に血管痛が起こりやすくなります。
るなさんも『痛い、痛い』と訴えることはありました」

それでも、治療を拒否することはなかったという。

「点滴の針を抜いてしまったり、治療を嫌がったりすることはありませんでした。つらい状態だったと思いますが、一生懸命がんばって治療を受けてくれていました」

弁護団によると、るなさんは昨年7月、不起訴処分で釈放された時点で体重が約10キロ減少していたという。

その後、何度か入院治療を試みたが、逮捕・勾留によるPTSDの影響で人に対する強い恐怖心や不安症状が続いたため、基本的には在宅で治療を続けていたという。

「るなさんの場合、逮捕・勾留という非常に大きな出来事が前提としてありました。もう少し医療現場がその点を考慮しながら介入できていれば、何か違った可能性があったのではないか、と思うと非常に残念です」(水野医師)

るなさんの母親も、娘の最期の日々を振り返りながら涙を流す。

「娘は本当に頑張っていました。食べようとしていたし、治療も受けていました。
それなのに、こんなことになってしまった……」

そして、こう訴えた。

「あの子がどれだけ頑張っていたのかを知ってほしいんです。そして、どうしてこんなことになったのかを明らかにしてほしい。もう同じような思いをする子を出してほしくありません」

16歳の少女に何が起きたのか――。その真相は、これから始まる裁判のなかで問われることになる。

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