「毎日が新鮮!ウィッグの自分も楽しんでいるの」梅宮アンナ 乳がん闘病で見つけた“新しい自分”
講演などで自分の経験を語ることが増えた梅宮アンナ(撮影:高野広美)
子宮頸がんと子宮体がん、そして乳がんは“女性のがん”といわれることもある。女性のがんに罹患しつつも、前向きに乗り越えている人たちがいる。
■「いまがいちばん生き生きしてる」
「人生のなかで、私は、いまがいちばん生き生きしているんじゃないかな?芸能界で長く活動してきたけど、モデルもタレントもどこか自分を演じる部分があり、性に合っていませんでした。いまは自分の経験を生かすことができて、本来の自分らしくいられるんです」
2024年に、希少がんである浸潤性小葉がん(乳がん)のステージIIIaであることを公表し、治療に臨んできた梅宮アンナさん(53)。その翌年には再婚を発表し、がんを患っても、仕事もプライベートも充実した姿が、同じ病の女性たちの励みになっている。
がん闘病を「人生の意味あるフェーズ」と捉え、自身の経験を著書『フルコース がんと私と家族の日々』(文藝春秋)にまとめた。病状を細かく明かすことに抵抗はなかったという。
「周囲の人に、“がんのステージまで公表してしまうと、いままでのような仕事はなくなるかもしれない”と止められもしました。
だけど、私は『だったら新しいことをすればいいじゃない』と考えたんです」
主治医は国立がん研究センター中央病院乳腺外科の高山伸先生と、腫瘍内科の米盛勧先生。
「お2人ともキング・オブ・キング(笑)。出会えたことに感謝しています」
彼らに全幅の信頼を置き、提示された治療をすべて受け入れた。抗がん剤治療に始まり、乳房全摘手術、放射線治療、そして現在はホルモン療法と分子標的薬の服薬と、保険適用となる「標準治療」を行ってきた。
治療中は副作用に苦しめられることも。2週間に一度、通院で強い抗がん剤を投与。その副作用で肺炎(カリニ肺炎)になり緊急入院したこともあった。その後も口内炎に苦しんだ。
放射線治療の痛みも想像以上だった。そんなアンナさんは「標準治療」を推奨し、サプリ摂取や民間療法は一切行わない。
「何で治ったかわからなくなるから。欲張りたくないので」
副作用がきつい人から「どうしてアンナさんは元気なの?」と聞かれることも。「体が強いのもあるけど、先生が出したものを喜んで飲むマインドが大事。ポート(抗がん剤や高カロリー輸液を投与するために皮下に埋め込まれる医療機器)の埋め込みも、『アンナちゃんがやってるから』と決断した人がいたそうです。私が苦しそうだったら誰もまねしないでしょ?」
■「病気になっても輝く女性を増やしたい」
「がんがわかっても、恐怖や不安で泣くことはなかった」と振り返るアンナさん。2019年に父・梅宮辰夫さん(享年81)が亡くなったことも影響しているという。
「父親の死を経験してから、『いつかみんな死ぬんだ』と考えるようになりました。そのことで、むしろ、朝起きて『今日も生きている』と実感し、治療ができることに『ありがとう』と受け止めることができるようになったんだと思います。抗がん剤がよく効いて手術もスムーズに進んだのは、この感謝の気持ちが大事なのかなって思います。金銭的には、がん保険に入っていたことが、とても助けになりました」
がんを経験して、仕事の幅はむしろ広がったという。
「『経験を話してください』という依頼がどんどん舞い込むんです。先日も乳がん学会で主治医の先生と登壇しました。60分ほど、体験したことや学んだことを話すんです」
ピンクリボンの会などでの登壇、保険会社での講演も増えた。4月には米国・ニューヨークの日系人会でも講演。
海外でも乳がんは身近な問題だと実感した。
「欧米はもっとカジュアル。抗がん剤治療中にライブ配信する人もいるんです。オープンにする人も多いけれど、隠している人も。それぞれの思いや、事情があることを痛感しました」
こうしたイベントで、人から「アンナさんの髪は一度脱毛して、もうそんなに伸びたの?」と、真顔で聞かれることもあるというが、実は現在医療用ウィッグを着用しているのだという。
アピアランスケア(外見など見た目のケア)は患者にとって切実な問題だ。アンナさんは、「美容室シトリン」の医療用ウィッグを「安くて自然」と愛用している。
「若い女性が2人で営む『シトリン』が開発したものです。
普通の医療用は数十万円から百万円くらいのものもザラなんですが、私のような明るい髪色の人にも対応してくれて、なんと8万円だったの」
インスタグラムのDMなどで、ウィッグについて問い合わせがあると、「梅宮アンナから聞いたと言って訪ねてみてね」と必ず返信している。「髪がなくなっても気持ちを明るく持てるお手本になりたい」と笑う彼女だが、今後もがんに罹患した女性を元気づける存在でありたいという。
「国内外でファッションや美容の世界と両立させて、病気になっても自分らしく輝く女性を増やしていきたいんです」
一方、再発の可能性は常に頭に置いている。
「『次は何がくるのかな』という覚悟もあります。すべてひっくるめて毎日が新鮮なので。わくわくのほうが強いかな」
【PROFILE】
梅宮アンナ
19歳でモデルデビューしカリスマ的な人気に。50歳で乳がんが発見され、公表。SNSで“フルコース”で受けた闘病の過程を発信している。
『フルコース がんと私と家族の日々』(文藝春秋)でがんとの闘病を赤裸々につづっている
(取材・文:本荘その子)