“福岡県議会のドン”辞職で再注目「3.5億円モニュメント」建築エコノミストも疑問を呈する金額の“妥当性”
蔵内勇夫氏(撮影:梅基展央)
議長・副議長就任に際しての金銭授受疑惑や高額海外視察などで揺れる福岡県議会。その渦中にいる“福岡県議会のドン”こと蔵内勇夫氏(72)が、議長職に続き議員も8月25日に辞職した。
「蔵内氏は、かねてから『日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会が設置されたら議長は辞任する』と明言していましたが、議員辞職については否定していました。
ところが8月19日に突然、事務局に議員辞職願を提出したのです。この急転直下の背景には、9月から始まる県議会での予算審議、さらには近々予定されている高市早苗政権の内閣改造と党役員人事に、『政治とカネの問題』で迷惑をかけてはいけない、といったことがあります。
その一方で、『辞職勧告などで辞めるのはプライドが許さないからだ』『地元選出の国会議員から説得されたようだ』という見方もあります」(政治担当記者)
こうしたなか、蔵内氏の出身地である筑後市の県営筑後広域公園に設置されたモニュメント「ワンヘルス・カーボン・ゲート」が、議論の俎上にあがっている。
「ワンヘルス(One Health)は『人の健康』『動物の健康』『環境の健全性』をひとつの健康ととらえ、世界獣医師会長でもある蔵内氏と服部誠太郎福岡県知事が二人三脚で進めてきた政策です。
モニュメントは炭素繊維で作られた、チューブを編み込んだような二重らせん形状で、高さ7m、幅9.5mと巨大なものです。
総工費は国の補助金も含めて、約2億8000万円。ほかのモニュメント群と合わせると、3億5000万円に上ります。新国立競技場をデザインした建築家の隈研吾氏が設計に協力したことでも知られています」(福岡県政関係者)
しかし、福岡県民によると「プランの段階では『ワンヘルス』とは関係がなかったが、いつの間にか、県の事業になっていた」という。こうしたことから、今後は行政改革審議会(行革審)であらためて検証されることになるそうだ。
Xにも《これ、いる?》《負の遺産にしかならないと思う》など疑問視する声が寄せられているが、建築エコノミストの森山高至氏も、金額の設定などに疑問を呈する。
「絵画や工芸品は市場流通するので、制作した作者によりある程度の“価値”がわかります。しかし、モニュメントなど野外彫刻は市場流動性がゼロなので、金額的な価値はわかりにくいんです。3000万円で作られても、『芸術的価値があるから』という理由で3億円になったりする、ブラックな世界です。
そういったことから、工事費用などに余裕を持たせるため、隈さんに設計協力を依頼して、高い金額を設定した可能性も考えられます。今後は、行革審でその辺りがどれだけ明らかになるかがポイントだと思います」
蔵内氏はこのモニュメントについて8月10日、報道陣に「将来、評価されると思う。ワンヘルスというのが国際的に大きな流れになってくるので、発祥の地となるでしょう」と語ったが、原資は福岡県民の税金だ。真相の解明が待たれる。