「なぜ、トランプ大統領に電話しないのか?」国際政治学者が指摘…ICC赤根所長への制裁で明らかになった高市外交の迷走

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「なぜ、トランプ大統領に電話しないのか?」国際政治学者が指摘…ICC赤根所長への制裁で明らかになった高市外交の迷走

トランプ大統領との親密さをアピールしてきた高市首相(ホワイトハウスの公式ホームページより)



「大変残念に思っております」

国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長(70)が、米トランプ政権から制裁対象に指定されたことを受け、8月19日、高市早苗首相(65)はこう述べた。

日本はICC最大の資金拠出国であり、日本人の赤根氏がトップを務める。ところが、同盟国である米国から制裁を科されても、高市首相の第一声は「大変残念」だった。

「その後、『政府の対応は弱腰ではないか』という世論の批判を受け、8月25日の会見で高市首相は、『弱腰との御批判は当たらない』と反論。米国に対して『様々なレベルで、ぎりぎりまで働きかけを続けてきた』と説明し、今回の制裁についても『日本の立場と相容れるものではなく、大変深刻に受け止めている』と表現を強めました。

ただ、その後も、高市首相自身がドナルド・トランプ大統領(80)に直接電話するなど、制裁をめぐって働きかけを行ったかどうかは、少なくとも公表されていません」(全国紙記者)

ここで、ひとつ疑問が残る――。

■「なぜ、トランプ大統領に電話しないのか?」

国際政治学者で明海大学教授の小谷哲男氏は、次のように指摘する。

「現場レベルでの話し合いはあったのでしょうけれども、これだけ大きな案件ですから、やはり首脳レベルでの話し合いが必要だったんだと思います。
でも、それをやっていない」

小谷氏によれば、高市首相とトランプ大統領はこれまで3回電話で話しているが、いずれもトランプ大統領からかかってきたものだという。では、なぜ高市首相自ら電話をかけないのか。

「これは高市さんに聞かないとわかりませんが、おそらく怖いんだと思いますよ。トランプ大統領と話すと、何を言われるかわからないということがあるんです」

小谷氏は、その背景として日中関係の悪化があると見ている。

「最初の2回の電話では、トランプ大統領から『中国との関係を安定させろ』と言われています。ですから、また電話をしたら中国の話を持ち出されるんじゃないか、と怖いのではないでしょうか」

■「日本にはアイアンレディがいるから大丈夫」
一方、米国内では、いまの日本の苦境そのものが十分理解されていない可能性があるという。

たとえば、急速な円安や、中東危機によるエネルギー問題。加えて、昨年10月の高市首相の“台湾有事発言”に端を発した中国との関係悪化によって、レアアースの輸入も滞り、国内産業への影響が広がっている。


ところが、小谷氏が最近、トランプ大統領を支持するMAGA系の安全保障専門家らと会った際、「日本にはアイアンレディがいるから大丈夫だ」と言われたという。一見、高市首相への高評価にも聞こえる。しかし、小谷氏はまったく逆に受け止めた。

「結局、『アイアンレディがいれば大丈夫だ』という評価は、いまの日本が置かれた現状をちゃんと見ていないということ。言い換えると、日本に対して強い関心がないということです」

そのうえ、8月にはプーチン大統領が北方領土の択捉島を訪問。北朝鮮も日本への強硬姿勢を強めている。

それにもかかわらず、米国から「日本は大丈夫だろう」と思われていることに、小谷氏は危機感を抱く。

「いざ日本が有事に巻き込まれたとき、アメリカが介入するかどうか。
トランプ大統領が判断するうえで、MAGA系のトランプ支持者のなかでも、安全保障に詳しい専門家たちが日本をどう見ているかというのは、大きな要素になります。『日本はなんとなく大丈夫だろう』と見られていると、実際に有事が起きたとき、アメリカが介入するのか。そこはやはり懸念材料です」

■米中、米朝が動くなか「待っているだけではダメ」

トランプ氏は中国との関係安定化を進め、金正恩氏との会談にも意欲を示している。

「このままだと、ますます中国、ロシア、北朝鮮が日本に対して強硬に出てくる可能性が高い。このまま待つのではなく、高市首相のほうからトランプ大統領に働きかけて、いま日本が置かれている状況を少しでも改善する必要があるでしょう。

いま中国が『日本と話す必要がない』と思っているのは、日米関係が揺らいでいると思っているからだと、私は見ています。日米関係をしっかりと固めないと、日中関係を改善することも難しいでしょうし、ロシアや北朝鮮とやり合っていくことも難しくなるでしょう」

高市政権は防衛力強化を急ぐ。しかし、小谷氏は、軍備を増強するだけでは日本の安全は守れないと指摘する。


「日本がどれだけ努力しても、単独では中国や北朝鮮、ロシアの脅威には対抗できません。アメリカとの同盟協力は絶対に必要ですし、そのほかの国とも協力が必要です。その意味でも、首脳レベルでの頻繁なやり取り、コミュニケーションが重要なのです」

では、いま高市首相にひとつだけ助言するとしたら――。

「繰り返しになりますが、『困ったときに電話してくれ』と言われたんだから、電話をすればいいんだ、ということですね」

日中関係をはじめ、日本を取り巻く安全保障上の問題、そして赤根所長への制裁についても、ということだ。

日本人のICC所長が米国から制裁を受けてもなお、トランプ大統領に直接異議を伝えないままでいいのか――。高市首相自身の外交姿勢が、いま問われている。

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