《ベンツへこませが”時代遅れ”と炎上》木梨憲武 平成は受け入れられた“暴走芸”が“迷惑芸”になってしまったワケ

女性自身
《ベンツへこませが”時代遅れ”と炎上》木梨憲武 平成は受け入れられた“暴走芸”が“迷惑芸”になってしまったワケ

木梨憲武(写真:本誌写真部)



昭和から平成にかけて日本のお笑い界の先頭を走り続けた人気コンビ「とんねるず」。しかし、時代を席巻した“芸風”に大きな逆風が吹き荒れている。

発端となったのは、4月25日にABEMAで配信された、とんねるずの木梨憲武(64)による音楽バラエティ番組『木梨レコード』に、ラッパーのSHO(44)が出演した回の一幕。そのなかで、木梨がSHOのベンツの屋根に上がり、SHOが「ちょっと危ないかも……」と制止するも、木梨は車体を踏んだり、座って体を弾ませたりするなどした結果、天井部分がへこむという場面があった。SHOはその場では笑顔を見せており、放送当時は何事もなく終わったのだが――。

8月30日、X上で一般ユーザーから《自分の車を踏まれて愛想笑いしていた》《ダサい》などと指摘されたSHOは、当時の状況について《これはabemaがやってる木梨さんの歌番組の歌を収録前だぞこれで俺がキレて帰ったら誰も得しないだろ》と説明。

続けて、《男には我慢する時もあるってことだよ今はこの時の俺によく我慢したと褒めてあげたいねけしてダサいなんて1mmも思わねぇ》といい、車の修理代はABEMAが出してくれたと明かした。

しかし、このやり取りをきっかけに当時の映像が拡散すると、《流行らない笑い》《平成初期のノリ》《まったく面白くねえ》など木梨への批判が相次ぐことに。
さらに過去の木梨の他の番組での“悪ノリ”映像まで掘り起こされ、それにも批判が寄せられるなど延焼が広がっている。

バラエティ番組でのこうした木梨の破天荒な振る舞いは彼のトレードマークでもあったはずだが、なぜここまでの”炎上”に発展したのか。お笑い評論家のラリー遠田氏は、まず「切り取りによって、番組内の文脈が失われたことが大きい」と指摘する。

「問題の動画だけを見ると、木梨さんが勝手に人の車の上に乗って、ベコベコにしているように見えますよね。でも実際の番組では、SHOさん自身が自分の車を木梨さんに紹介して、『ここに座るとかっこいいですよ』と自らボンネットに座るよう薦めています。そこから木梨さんの行動がエスカレートしていくのですが、番組全体の流れを見れば、印象はかなり違うと思います」
一方で、SHOの「言葉選びにも問題があった」とラリー氏はいう。

「Xで“愛想笑い”を指摘したユーザーに答える形で、SHOさんは《男には我慢する時もある》《よく我慢したと褒めてあげたい》などと投稿しました。これって、要は“嫌だった”ということを言外に伝えてしまったわけですよね。


SHOさんとしては、バラエティーの企画なのだから、自分も納得したうえで収録を続けた、ということを言いたかったんだと思います。ただ、これだと”嫌だったけど、逆らえないので我慢した”と受け取られてしまう。それによって、”嫌がっている人の車の上に乗って暴れたひどい人”という見え方になり、炎上の一因になったのかなと思います」

さらに今回の炎上の背景には、木梨の芸風をもともと好まない層の存在もあるとラリー氏は指摘する。

「当然、昔だったら笑ってもらえたようなことが、今はパワハラやいじめのように受け取られて、批判されるという時代の変化はあります。一方で、木梨さんの昔からの“暴走芸”がもともと好きではない人も一定数いて、今回の動画を見て『またこういうことをやっている』『もう時代遅れだ』と批判しているという構造もあると思います。

今回の炎上では、過去の木梨さんの映像まで掘り起こされています。一つの動画が炎上すると、過去のいろんな出来事まで結びつけられて出てくるので、炎上が拡大しやすいんです」

今回の騒動をきっかけに掘り起こされている過去の“悪ふざけ”では、相手が後輩芸人だったという点もポイントだという。

「今回の番組には、木梨さんの行動にツッコミを入れて笑いに変える別の芸人もいませんでした。
もしいれば、『何してるんですか』とツッコんで、視聴者の気持ちを代弁してくれたかもしれませんが、今回は木梨さんが暴れて、そのまま終わってしまう流れでした。

しかも、過去の“悪ふざけ”の場合、相手はサンドウィッチマンなどの後輩芸人です。芸人同士なら、やられた側のリアクションも含めて笑いとして成立する部分があるけど、今回はそうではない。だから余計に、生々しい迷惑行為のように見えたんじゃないでしょうか」

また、木梨やとんねるずを知らない若い世代が増えていることも、今回の受け止め方に影響しているという。

「昔の木梨さんを知っている人なら、好き嫌いはともかく、木梨さんやとんねるずがこういう芸風でやってきて、それが当時は多くの人に受け入れられていたことも知っています。だからこそ、『今の木梨さんはちょっとやりすぎじゃないか』という見方もできます。

一方で、そうした背景を何も知らない人が動画だけを見ると、突然、謎の男性タレントが人の車の上に乗って暴れているように見える。そこでは、やっぱり受け取り方がかなり違ってくるのではないでしょうか」

そのうえで、ラリー氏は木梨の芸風そのものを否定するのではなく、年齢や時代に合わせた“アップデート”が必要ではないかと指摘する。


「今も昔も、こういう悪ノリ的な笑いが好きな人は一定数いると思うんです。より過激な笑いはYouTubeなどでやるという棲み分けもできているので、そういう笑いそのものが全員にとってつまらなくなったわけではない。ただ、コンプライアンスが厳しくなった地上波では、昔のようなことはできなくなっているので、そういうバランス感覚が求められていると思います。

また、とんねるずは若さゆえの無軌道な暴走が魅力でしたが、今は木梨さんも60代です。若い頃とまったく同じノリを続けるのは、見ていてもやっぱり厳しい部分があるでしょう。昔からのファンには、変わらない木梨さんを見たいという気持ちもあるでしょうが、時代も年齢も変わっている以上、自分たちらしさを残しながら、少しずつ芸風をアップデートしていかないといけないんですね」

一方で、木梨より年上にも関わらず、あまり炎上することなく第一線を走り続けている大御所たちを例に出して、ラリー氏はこう締めくくる。

「ビートたけしさんやタモリさん、明石家さんまさんなんかは、時代の変化や、今どういうことが求められているのかという感覚も持ちながら、ブレずに自分たちのスタイルを続けています。一方で、そういう変化に対応できずにテレビから消えていった人たちもいます。


そんな中で、木梨さんは40年以上やっている。それだけ長く第一線で活動できる人は本当にごくわずかですから、そこはやっぱりすごいことだと思います」

”時代遅れ”という声もあがった今回の炎上騒動。これを機に木梨はどんな進化を見せるのか――。

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