高知市の避難所「設置率0%」が議会で問題化…自治体に聞いた学校の体育館「クーラー設置」が進まない理由

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高知市の避難所「設置率0%」が議会で問題化…自治体に聞いた学校の体育館「クーラー設置」が進まない理由

松本洋平文科相(撮影:長谷川新)



9月15日、高知市議会で、避難所に指定されている公立小中学校の体育館などのクーラー設置率(以下、設置率)の問題が取り上げられた。

地元の「高知さんさんテレビ」は《避難所に指定されている小中学校の体育館のうち、空調が整備されている割合は県全体が16.4%と、全国平均の33.1%を大きく下回っていて、高知市は0%です》などと報じている。

2026年7月の熊本地震の際にも、猛暑が続くなか、避難所となった学校の体育館にクーラーが設置されていないケースがあり、SNS上で《なぜ体育館への設置を進めなかったのか》といった批判も出ていた。

文部科学省が発表している資料によると、2026年5月1日現在の設置率は全国平均で33.1%となっている。2026年7月、本誌が取材した文科省の担当者は、設置が進まない3つの理由についてこう話していた。

「補助金は出していますが、設置には各自治体の持ち出し分が発生するため、それぞれの財政的な問題に行きつきます。次に昭和40年代、50年代に作られた学校が多く、老朽化が進んでおり、その対応が最優先になっています。建築基準法や消防法、バリアフリー法などに対応するような作りにしなければならないため、クーラー設置よりも改修作業を先にする必要があります。
もうひとつは、少子化で学校の統廃合が進んでおり、廃校するかもしれない学校の体育館には、無駄になりかねないためクーラーを設置できないという事情もあります」

今回、設置率が0%となっている理由などについて、高知市教育委員会に聞いた。担当者が言う。

「いま現在、耐震補強をしなければならない給食調理室などの建物が若干残っておりまして、そちらに予算を割かれていたり、理科室や家庭科室など特別教室の空調整備がまだ完全に終わっておりません。今年度から3カ年、約35億円かけてそちらの整備をやっていくことと、照明のLED化の事業も同時並行で進めておりまして、そちらに予算がかかっているということで、なかなかまだ体育館への着手ができていないのが現状です。今年度、特別支援学校の体育館にまず1校、現在、空調設備を進めているところです。まず1校、整備したうえで、電気代や運用状況を見て、先行した自治体も見すえながら、次のステップに入っていきたいと考えております」
政府は、避難所となる公立小中学校の体育館などの空調設置率100%の目標を掲げている。当初は2035年度までとしていたが、2026年8月に2031年度までと4年、前倒しにした。8月27日、松本洋平文科相が「第13回令和8年熊本地震非常災害対策本部会議」及び「第3回令和8年8月千葉豪雨に関する関係閣僚会議」に出席。
会議において、緊急に対応すべき施策として「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」のひとつとして決定された。

「我々もそこに向けて、体育館の空調整備というのも、もちろん必要というのは感じております。暑さ指数の影響で、運動場で子どもたちが遊べない。体育館も暑さ指数が高いので、体育館でも遊べない、という現状で、夏季になかなか身体を動かすことができないという状況があることから、我々も学習の場として設置の必要性は重々感じております」(前出・高知市教育委員会担当者)

文科省の担当者は7月に、こうも話していた。

「政府は2024年度の補正予算で、小中学校体育館へのクーラー設置のスピードをそれまでの2倍にし、2025年度から工事を加速させている自治体が多いです」

実際に、2025年5月1日から2026年5月1日までの1年間で、大分県の設置率は9.4%から39.4%と大幅にアップしている。大分県教育委員会の担当者が言う。

「大分県内の自治体では、大分市と別府市、中津市などが設置率100%(2026年5月1日現在)となっています。ほかの市町村では0%の自治体もあります。
大分市、別府市などの中核市の設置率が一気に上がったことが、県全体でも増えたおもな理由です。大分市や別府市が、指定避難所の体育館へのクーラー設置を優先的にやろうと考えた結果だと考えています。ついこの間、文科省や総理が前倒しすると決め、各市町村さんの判断は現在、こちらでは把握できてはいませんが、そういう方針を打ち出された限りは、追随せざるを得ないのかなと思っています。大分県立の高校と中学校に関しては、今年度に全避難所施設の体育館の空調設備の設置が終わる見込みです。小中学校のメインは市町村さんですから、市町村にがんばっていただきたいと思っています」

設置率が0.4%と全国最下位となっているのが佐賀県だ。佐賀県内で、避難所に指定された体育館などで冷房が設置されているのは、2023年度に設置された大町町立小中一貫校の大町ひじり学園の体育館のみ。その後、設置数は増えていない。佐賀県教育委員会の担当者は、設置率が上がらない理由についてこう話す。


「公立小中学校の設置自体は、おもに市や町の担当になります。県も市町と一緒に会議を開いて、情報交換をしております。そのなかで聞いた話では、体育館の設置は教室などに比べ、高額な費用がかかります。全体の事業費が1体育館につき、1億円くらいかかると聞いています。補助金などを活用すれば、(自治体の)負担は3割ほどです。小中学校にかかる費用としては、校舎自体の老朽化がありまして、改修などの対応が優先されていることも原因だと考えております。文科省の設置率にはスポットクーラーもカウントされますが、県では今年度中に県立学校の全46校(うち35校は避難所指定)の体育館(51棟)に各2台、計102台の大型スポットクーラーを設置し、県立学校の体育館の設置率は2027年5月時点では100%になります。現在は最下位ですので、ゴールまではいちばん遠い位置になりますが、2026年度、2027年度で、多くの市町で天井に設置する据え置き型の空調の設置を検討していますので、この2年で設置率は伸びると思っています」

設置率100%の目標を4年、前倒しした高市政権だが、全国の自治体の現状を把握しているのだろうか。

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