《今年だけで6人死亡》祭りの事故を「名誉の負傷」「よくやった」と美化…専門家が警鐘を鳴らす“死の正当化”

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《今年だけで6人死亡》祭りの事故を「名誉の負傷」「よくやった」と美化…専門家が警鐘を鳴らす“死の正当化”

だんじりの「やりまわし」は祭りの見どころのひとつだが…(写真:共同通信)



「祭りのために死んだ、というのは、国のために死んだというのと似たような話になりがちではないか。そこには、理屈抜きで『公』が優先される危うさがあります」

そう語るのは、宗教社会学者で文教大学国際学部の塚田穂高教授(46)。

今年10月10日、大阪府泉佐野市と泉大津市の「だんじり祭り」で、だんじりの横転が相次ぎ、48歳と51歳の男性が亡くなった。また、17日には、愛媛県西条市の「西条まつり」で山車の担ぎ手の男性(62)が太鼓台の下敷きになって死亡した。

今年2月には、岡山県岡山市の西大寺観音院で行われた裸祭り「西大寺会陽」で、宝木(しんぎ)を奪い合う揉み合いの中、男性3人が意識不明の状態で搬送され、48歳と58歳の2人が死亡する事故も発生(2027年の宝来争奪戦は中止になっている)。

さらに8月には、新潟県阿賀野市で開催された燈籠をぶつけ合う「水原まつり」で、男子高校生(18)が燈籠とアーケードの間に挟まれて死亡している。

今年だけで6人が、祭り中に亡くなっている──。

SNSでは《人命軽視の時代錯誤だから今すぐやめるべきだ》という全否定の声と、《命をかけても守るべき地域共同体の伝統だ》という全肯定の声が激しく対立している。


なぜ、祭りを巡る議論は極端な対立に陥るのか。塚田教授がその背景をひもとく。

「当事者にとって祭りは、『昔から変わらないものだから、変わらないんだ』と、同語反復的にとらえられている。地域コミュニティのアイデンティティや『誇り』などとも密接に結びついているので、他から批判されると感情的な反発を呼ぶのでしょう」(塚田教授、以下同)

塚田教授はそう指摘する。もちろん、祭りの文化を否定するわけではないと前置きしたうえで、コミュニティの結束が優先されることがもたらすリスクを指摘する。

「参加者の死やケガに対して、『祭りに殉じた』『よくやった』『名誉の負傷』のように美化し、プラスの意味付けをしてしまうことがあります。そこでは、祭りを構成する貴重な個々の人命や安全が後回しにされかねない」

さらに、宗教学の視点から儀礼や祭りの意味や構造に触れ、死者を出すことがコミュニティに与える影響の大きさを強調する。「非日常である祭りによってつながりを確認し、終わればまた新たな日常を生きる。
この循環と持続可能性がなければ、祭りは成り立たないし、続かない。コミュニティの一員から死者を出すということは、そのサイクルを途絶えさせてしまうような本末転倒な事態なのです」

こうした事故の背景には、「見せる祭り」として過激化してきた歴史もある。

岸和田だんじり祭では、若者を惹きつけるために「やりまわし」(スピードを緩めないまま直角に方向転換する)が高速化し、それが周辺地域にも広がったという声もある。この点について、前出の塚田教授もメディアや観衆の存在が影響を与えていると指摘する。

「メディアがだんじりの角を曲がる場面を繰り返し報じ、『これぞ勇壮な祭りだ』と煽ってきた面があります。また、その他の祭りなどでも、メディアや観衆が求める狂騒に当事者が応えようとする構図もあります」

塚田教授は、今年2月に岡山市の裸祭りで起きた事故についても、「ギャラリーが期待する狂騒にそのまま応える必要はない」と発信していた。

加えて、祭りを観光資源として扱う自治体の責任にも言及する。

「自治体が文化財として認定したり、観光資源として大々的にアピールしたりしておきながら、安全対策を放置していいはずがありません。
行政は人命尊重と安全配慮を重視し、対策を講じる必要があります」

では、現代のリスク管理社会において、この「極論バトル」から脱却し、祭りを存続させるにはどうすればいいのか。

「当事者は『今ある姿が絶対で、変えてはいけない』と頑なになりがちですが、祭りは長く続く中で変わってきたし、柔軟に対応してきた歴史があります。『昔の祭りはちがった』といった先人の証言に耳を傾けることなども大事です」

過去の歴史を振り返れば、祭りは常に変化を受け入れてきた事実があるという。

「変化することは、申し訳が立たないようなことではありません。外部も『非近代的だ』と一方的に叩くのではなく、狂騒を求めるような煽りを落ち着かせつつ、どうすれば祭りが続く形になるのか歩み寄って考える。多様な視点を持つことが重要です」

そして最後に、祭りの未来に向けてこう提言する。

「続いてほしいからこそ、変わってほしい。死者を出さないような持続可能な形に着地させるために、みんなで知恵を働かせるべきです」

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