小林鷹之氏「有事に匹敵するくらいの状況」サイバー攻撃への懸念に“危機感薄すぎ”の指摘…自民資料はいまだに「サイバー有事前夜」の甘い認識
小林鷹之政調会長(撮影:長谷川新)
10月29日、自民党の小林鷹之政務調査会長が、自身のXに、不正アクセスで相次ぐ個人情報の漏洩について、こうつづった。
《政権与党としては有事に匹敵するくらいの状況に置かれているとの厳しい認識を持つ必要がある》
小林氏は、27日にも自民党の審議会で同様の発言をしている。サイバー攻撃に対しての危機感を表現したものと思われるが、違和感を覚えた国民もいたようだ。Xでは、《もう、有事は始まっています》《おいおい、今そこかよ》など、小林氏の危機感の薄さを指摘するリプライが寄せられている。
「それもそのはずです。個人情報保護委員会のまとめによると、2026年4月以降、のべ約2億6000万人分の個人情報が不正アクセスにより漏洩しているのです。これは日本の人口の2倍を超える数字です」(政治担当記者)
GMOインターネットグループでは、不正アクセスにより証券口座が勝手に操作され、真偽不明ながら数百万円の損失が出たとの報告もある。同社の熊谷正寿社長は、攻撃者から当初約80億円を要求されたことを明かし、警察・自衛隊が必要に応じて攻撃元に侵入して、相手を無害化する「能動的サイバー防御」の適用を政府に緊急要請している。
「すでに緊急事態が発生しているにもかかわらず、政府の危機感は薄いとしか言いようがありません。自民党には、元デジタル相の平将明衆院議員をトップに置く『国家サイバーセキュリティ戦略本部』があります。同本部はサイバーセキュリティ対策の抜本的強化に関する提言を取りまとめ、10月23日に高市早苗首相に申し入れをしました。
高市首相に手渡されたペーパーが報道陣にも公開されたのですが、冒頭に書かれてあった文言は、驚くことに『サイバー有事前夜 AIのサイバー飽和攻撃に備えよ!』だったのです。
個人情報保護委員会が4月以降、不正アクセスや情報漏洩の深刻な状況を把握していたのですから、現在の状況はすでに『前夜』という段階ではないでしょう。『攻撃に備える』という段階はとっくに過ぎているはずです。こうしたことから、自民党内でも呆れる声が出ています」(同)
もっとも、野党も同様の認識のようだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は27日の記者会見で「いま起きているのは平時と戦時の境目にある」と現状を説明。
そして「緊張感を持って法改正などをしていかなければいけない」と述べ、サイバー攻撃への対応を強化すべきとの考えを示した。だが、すでに事態は「戦時」だとする意見も多い。
「米マイクロソフトは、10月21日、中国政府と関係があるとみられるハッカー集団が、AIを駆使して世界の数百の組織を狙うサイバー攻撃を自動化していたと報告しています。
『ARTEX』というツールを使うことで、標的を決めてから数時間でアクセス権を得た事例も多数あったと言います。この報告が事実なら、もはや国同士の “戦争” が始まっていると言わざるをえないでしょう」(同)
対策が遅きに失して、取り返しがつかないことにならなければいいのだが。