くらし情報『被災地の77歳女性寿司職人、苦難続いても笑顔でいる理由』

被災地の77歳女性寿司職人、苦難続いても笑顔でいる理由

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野田村は、岩手県北部の太平洋に面した小さな村。人口約4,400人。NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で一躍有名になった三陸鉄道北リアス線が海沿いを走っている。その陸中野田駅から徒歩5分。どこか懐かしい街並みの一角に、村で唯一の寿司店「藤乃寿司」はある。

藍染めののれんをくぐると、カウンターの奥から小柄なおばあちゃんが、「いらっしゃい。どうぞ」と、招き入れてくれる。店主の斉藤トミエさん(77)だ。
チェックのかっぽう着がかわいらしい。身長150センチあるかないかのトミエさんは、女性では珍しい寿司職人。寿司を握り続けて半世紀。77歳にして現役だ。

長女の明美さん(51)は奥のキッチンで煮物、焼き物などの調理を担当。母と娘で切り盛りする寿司店は今年で創業53年になる。

「人生は七転び八起き。昔の人はよくそう言いましたよ」

これがトミエさんの口癖だ。
失踪して行方知れずの夫が残した借金を完済し、借地だった土地を購入して、店舗兼自宅を建て替えたのは55歳のとき。そのローンも10年ほどで完済し、寿司を握り続けているさなか、’11年に東日本大震災が発生する。

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