東日本震災乗り越え、遺児たちが届ける「天国への進学報告」
’11年3月11日。東日本大震災を境に、東北の人々の生活は大きく変わった。厚生労働省の調査によれば、’15年9月の時点で、ひとり親になった18歳未満の子ども(震災遺児)は1,538人。そして両親ともに失った子ども(震災孤児)は244人。あしなが育英会東北事務所の富樫康生さんはこう語る。
「“親族里親”というのですが、震災で両親を失った児童のほとんどが祖父母や親のきょうだいに引き取られました。環境の変化に戸惑う子どもたちもいます。祖父母が引き取った場合、年々高齢になる保護者が、思春期を迎える子どもをどう育てていくかということも課題になっています」
仙台市で生まれ育ち、岩手県陸前高田市の祖父母宅に引き取られた熊谷海音さん(13)も、大きな環境の変化にさらされた。
小学1年生で被災し、両親と姉の家族全員を失ったのだ。しかし海音さんは歌が上手で、小学生時代は復興支援イベントで独唱するなど大活躍。
その姿はテレビ番組でも取り上げられ、「涙を見せない」「弱音を吐かない」「元気で明るい」