簡単な手続き可能に…“認知症サポート口座”の仕組み
「認知症になった父の預金を、いずれは自分たちが相続する財産だと子どもが好き勝手に使い込んでしまう、というケースは最近よくあるんです」
そう嘆くのは、城南信用金庫の吉原毅相談役。“4人に1人が高齢者”の日本は、高齢者の資産を、親族や弁護士など第三者が管理するケースが増加している。認知症で判断能力を失った高齢者の財産を、本人以外で管理できるのは「成年後見制度」で選ばれた後見人だけ。
その一方で、財産を悪用する犯罪行為も増加。昨年、発覚した使い込みなどの被害総額は約30億円だ。後見人の立場を利用した悪用を防ぐべく、5年前に「後見制度支援信託」が導入されたが−−。
「財産を信託銀行の特別口座に預け替えし、家裁が直轄管理します。しかし、お金の出し入れには家裁の許可が必要で、信託銀行に出向き、いちいち手続きしなければなりません。
店舗が少ないうえに、手数料が異常に高く、口座開設には何万円もかかります。結果、必要なお金を下ろせず手間ばかりかかると、利用者は低迷していました」(吉田相談役・以下同)