「当時、若い女性の見るドラマ枠がフジにはありませんでした。そこで、それまでバラエティの『欽ドン!』を放送していた月曜9時をドラマ枠にしたのです。参考にしたのは、TBSの『男女7人夏物語』でしょう。TBSが開拓した恋愛路線を、勢いのあるフジテレビが奪って成功したわけです」
こう話すのは、中川右介さん(作家・編集者)。入手できうる映像はすべてチェックするなど、綿密な取材を重ね、『月9101のラブストーリー』(幻冬舎新書)も上梓している。ある時は“トレンディ”な俳優たちの恋模様にヤキモキし、またある時は両親を失った6人きょうだいたちの強い絆に涙を流し……。’17年4月に30周年を迎える「月9」。そんな輝かしい歴史を中川さんの解説で振り返ってみよう。
始まりはテレビ局が舞台の「業界ドラマ」だった!
まだ「月9」という愛称すらなかった’87年4月に始まった『アナウンサーぷっつん物語』。ブームになっていた女子アナを岸本加世子が演じて話題を呼んだ。
「フジテレビがそのまま舞台となった恋愛ドラマ。